六甲山上散策(穂高湖~比命神社~ダイヤモンドポイント~六甲山牧場)

 2021年5月6日


六甲山には何度も登っているものの、体力的にも時間的にも余裕が無く、山上の施設や名所を巡ることなく下山することが多い。今日は気になる六甲山上のスポットをできる限り歩き回りたい。



摩耶山と六甲山の鞍部となる穂高湖からスタート。標高は既に600m。もはや登山とは言えないけれど、緊急事態宣言を受けての自宅周辺の散歩にも飽きて、ダラダラとGWを過ごして鈍りきった体には丁度いい。



六甲山上の施設が全て休業となっているため、期待通り観光客やハイカーの姿はほとんど見られない。穂高湖周辺の散策は後回しにして、杣谷峠を越え、六甲全山縦走路を少し歩いた後、ずいぶん久しぶりとなるサウスロードへと進む。



サウスロードってこんな道だっけ…。小さな滝があったり、路上は湧水が流れていたり笹に覆われたり、倒木で遮断されていたり、道が崩落していたり…。六甲山上で危なくない程度にいい感じに荒れた道を歩くことになるとは、嬉しい誤算だ。



サウスロードを40分ほど探検隊気分で満喫し、神戸から大阪にかけての街や海が一望できる山稜の全山縦走路に出てきた。



最近オープンしたホテル神戸六甲迎賓館。客室からは素晴らしい展望が楽しめそうな好立地だ。カフェやレストラン、大浴場まで備えた楽しそうなところだ。



一方で、好立地でありながらも摩耶山のホテルは休業してしまったし、六甲山上でも廃業後長らく放置されているような建物も見られる。眺めがいいだけで、集客が見込めるほど簡単なものではなさそうだ。



六甲山小学校の近くに「この辺りが六甲山上のほぼ中心」との標識が立ってるが、六甲山上の範囲が判らない。東端を六甲山頂だとすると、西端は標高600mほどしかない杣谷峠になるし、西が三国池ならば東は極楽茶屋となり六甲山上には山頂が含まれないことになる。



「ブナの道」と呼ばれる、瓢箪池からオルゴールミュージアムへと抜ける脇道を進む。鉄道など走っていようはずもない山中に阪神電車の立入禁止看板があることに違和感を覚える。神戸ゴルフ倶楽部の土地は阪神電車が保有しているのだろうか。



オルゴールミュージアムから以前から気になっていた六甲比命神社へと向かう。ログハウスなどが立つ裏六甲を見渡せる林道を進んでいく。



林道から分岐して険しい山道を少し攀じ登っていったところに、大きな岩に細かな文字で般若心経が彫られたものがある。心経岩と呼ばれているものだ。ここから巨大な磐座が点在するエリアへと入っていく。



六甲山の山名がここに始まったとも伝わるらしい。パワースポットだとかスピリチュアルといった流行り言葉に惹かれてこの地を訪問する人が多いと聞くと少々反発を感じるが、歴史的にも地学的にも意義深い特別な空間であることに異論を挟み込む余地はない。



六甲比命神社の神殿へは、巨石に架けられた危なっかしい梯子を登っていかねばならない。難路の末にある簡素な神殿にも関わらず、少なからぬ参拝客がいたことに驚いてしまう。



雲が岩。1400年ほど昔、インドから渡来した法道仙人がここで修行をしていた際に、紫雲に乗った毘沙門天を感得したという。真っ二つに割れた巨岩だ。



六甲比命神社を巡った後、高山植物園方面を目指し自動車道を避けながら歩いていく。関西大学保養所?のイノシシ除けのフェンス(大きな隙間があって何の役にも立たないように見える)を入っていくが、その後関係者以外通行禁止の標札に退散を余儀なくされる。



素直に舗装道を歩けば良いものを、怪しげな山道を選んで進んでいくが、とんでもない藪漕ぎになってしまう。道にはなっているようだけど、足元は見えないし、虫は多いし、なかなか脱出できない…。



高山植物園からの「せせらぎの散策路」は緊急事態宣言による植物園休園に伴い通行禁止になっている。



非舗装道を進むことを諦めて一般道の路側を歩いて西へと戻ることにする。サイクリングルートの標識がある。甲子園から逆瀬川からビーナスブリッジに繋がる全長58㎞のヒルクライムルートの一部のようだ。自転車で六甲山に登るくらいなら歩く方がよほど楽に思える。



六甲サイレンスリゾート(旧六甲山ホテル)まで一般道を歩いた後、久しぶりにダイヤモンドポイントへと向かう。



「登山道が水没している」との注意書がある地獄谷への下り口を通過する。興味はあるけれど、ポンコツハイカーには到底太刀打ちできる道でないことは判っている。



ダイヤモンドポイント。裏六甲から丹波方面の山々までを一望できる絶景ポイントだが、アクセスが悪いので、あまり訪問する人はいないようだ。ここからの夕陽が最高に美しいとも聞くけれど、ここで夕暮れを迎えると下山できなくなってしまう。



たくさんの赤い実を付けた木を潜るように、ダイヤモンドポイントから南へと向かう。楕円形のツルツルした真っ赤な実で、六甲山では他所でも見られたのだけれど、調べてみても何の実なのかが判らない。



三国池。夕暮れが近づいてきたけれど、ここまで来れば一安心だ。



穂高湖に戻る前にもうひと踏ん張りして六甲山牧場に寄り道していこう。ゴールデンポイントというダイヤモンドポイントに張り合っているようなところが牧場内にあるのだ。牧場の外周道路から眺望が楽しめないものかと思ったけれど、ちょっと難しいようだ。



六甲山のおそらく全施設は臨時休場中。いつもは賑わう六甲山上も閑散としている。人の多い市街地での散歩より、山中の散策の方がよほど伸び伸びと歩ける。



最後に穂高湖を一周するつもりだったのだけれど、日暮れも近いため中止。歩行距離は13.9㎞だった。アップダウンの少ない気楽な山上散策のつもりだったけれど、累積標高は744m。ちょっとした低山登山に匹敵するようだ。