鉢伏山(養父市)

 2021年11月14日


スキー場で知られる鉢伏山に登ってみる。南麓にはハチ高原、北麓にはハチ北高原、と広大なスキー場に囲まれた鉢伏山は標高1221mを誇る兵庫県内屈指の高山だけれど、標高900m近いゲレンデからならば遠足気分で登れるという。



普段、播磨・摂津で常緑樹と岩稜ばかりの山ばかりを登っているゲレンデから見る鉢伏山の風景は斬新というか奇抜というか…、まるで他所の国にやってきたようだ。ちょっと興奮気味に正面の山並みを左(高丸山)から右(鉢伏山)に向けて縦走すべく出発だ。



ロッジが立ち並ぶハチ高原リゾートの中心からスタート。40年ほどもスキーをしたことがない者には目新しい設備が多い。一般車のタイヤをクローラーに取り換えただけの、簡易な雪上車があることには驚かされた。



スキーシーズンまでは閑散としているのかと思いきや、結構な人がいる。オートキャンプを楽しむ人も多く、学校の校外学習(林間学校?合宿?)などで多くのロッジも賑やかだ。



ススキの向こうに兵庫県の最高峰である氷ノ山が見える。ハチ高原は氷ノ山に向かうハイカーのための登山口にもなっている。昨年は最もポピュラーな福定の登山口から氷ノ山に登ったけれど、ハチ高原の尾根道を選ぶ人も多いようだ。



氷ノ山まで6㎞の標識が道の真ん中に立っている。意外に近いようにも感じるけれど、標準所要時間は4時間半というから、やはり容易な道ではなさそうだ。道の周囲は見渡す限り黄色一色だけれど、あと1ヶ月ほどもすれば白一色になるのだろう。



小代峠で氷ノ山への道と分岐して高丸山を目指す。遠目にはなだらかに見えたけれど、近づくと、空に登っていくかのような長い階段だ。周囲に目隠しとなる樹木がないので、登っている姿は遠くから見られているような気になり、立ち止まることなく懸命に登り続ける。



標高1070mの高丸山の頂上で待ち構えていたのは長い木道。湿原の木道のように自然保護のためではなく、おそらく積雪期の歩行のためのものだろう。正面に見える鉢伏山に向かって歩いていく。



ふと下を見ると、ゲレンデを登って集団がいる。お揃いの赤や白の帽子を被っているところを見ると、どうやら小学校の団体のようだ。林間学校の行事の一環だろうか…。道と呼べるのかどうかは判らないけれど、ゲレンデを直登するのもアリのようだ。



結局高丸山と鉢伏山の鞍部で、小学生の集団の背後を歩くことになる。見ればさらに先を行く集団が何組かいる。クラス別に集団を組んで登っているのだろうか。最後尾を引率の先生が歩いているけれど、元気な子供たち相手に実に大変そうだ。



あちらこちらに様々なリフトが設置されている。無雪期のリフトって、見すぼらしくもあり、物悲しくもある。



何組も連なる小学生の集団を追い抜くのは容易ではなさそうだ、と思っていたけれど、5年生あるいは6年生と思われる小学生の集団は意外と元気で決して遅いペースではない。少し離れて後ろを付いて歩いていれば、ストレスは感じない。



もっとも途中でバテて座り込んでしまう生徒もいて、やむなく少しずつ追い抜いていく。その結果、小学生の集団の一員のようなポジションで歩いていくことになってしまう。



何人もの小学生に前後を挟まれて鉢伏山の頂上に到着したため、先に到着していた生徒たちの「よく頑張った」の拍手に迎えられてしまう。小学生たちも変なオッサンが混じっていることに戸惑ったかもしれないけれど…。



頂上からの眺望。ハチ高原が一望できる。



風は強いし、寒い。大勢の小学生たちが賑やかに走り回っていて落ち着いて休憩もできそうにないので、早々に下山することとする。



振り返ると、これまで歩いてきた美しい稜線が見渡せる。森のなかを歩くのも、岩を攀じ登るのも好きだけれど、美しい稜線が楽しめる山歩きが一番好きだと改めて思う。いつか四国の剣山に登りたいものだ。



ゲレンデに向けての道を下っていく。ありがたいことに高丸山への登山道と違って、九十九折になっているため、のんびりと歩いていける。



下っていくと、標高の違いで植生が少しずつ変わっていくのに気づく。標高が低くなるに従って道の周囲の木がだんだんと高くなっていく。



スキーシーズンが迫るなか、人工降雪機が雪を作っている。作られた雪はゲレンデの脇に積みあげられ、ブルーシートで覆われている。



本日の歩行軌跡。歩行距離6.5㎞、獲得標高470m。所要時間は2時間半。休憩なしで踏破できた。




標高グラフと歩行ペース(対標準ペース%)。小学生の後を付いて歩いた2㎞~3㎞あたりは少々ペースダウンはしている。短い距離とはいえ、まずまずのペースで歩き切れた。