とんがり山・峰相山(姫路市)

 2021年11月7日


姫路市に「とんがり山」という気になる山がある。名前通り随分と尖がった山だ。YAMAPにも登山ルートの記載は無いのだけれど、なかなか楽しそうな山歩きができそうでYouTubeやYAMAPにも多くの登山記録がアップされている。



JR姫新線太市駅の北にある自然・農林業体験施設の「石倉峰相の里」に登山口がある。まずは「とんがり山」に登り、そのまま北へ峰相山まで縦走して、再び峰相の里に戻ってこよう。



登山口からガシガシと登り始めるけれど、どうにも歩きにくい。瓦礫がゴロゴロとしているうえに地盤が緩く、登りであってもズルズルとずり落ちる。落ちている枯木も多く、立木も枯れているものが多くて安心して掴まることができない。



トレース(足跡)もあるので進んできたけれど、深い藪に突き当たって先に進めなくなった。戻るしかないけれど、下りはひどく滑る。しかも折り悪く電話が入ってくる。まさかプチ遭難中だとも言えず、不安定な足場で踏ん張りながら普段どおりの応答をする。



YAMAPに掲載の無い道って、なんと難しいことかを痛感する。地図右端が登山口。誤って谷道を進んでしまったけれど、正解は地図左側へと抜ける尾根道だった。




登山開始早々の道迷いで時間も体力も大きくロスしてしまったけれど、気を取り直して再び登山口に戻ってリスタート。あらためてよく見れば急な尾根道にはロープが張られているので正しい道は明らかだ。



急な坂をドンドン上って稜線まで出ると、「とんがり山」がその姿を現す。確かに尖がっている。小学生が描くような典型的な山の形だけれど、これほどの勾配を持つ山はこの近辺では多くない。



「とんがり山」の中腹に超デカイ岩が座っている。亀岩だ。神岩とも言うらしい。カメとカミは似たような音とはいえ、その意味はまるで違う。でも山のヌシのようなこの岩の名が、亀岩と神岩のどちらであっても納得してしまう。



亀岩への登るため、亀岩の脇の断崖をすり抜けるようにして後方へと回り込む。幸い亀岩はとても固くてグリップも効くので、あまり不安感を感じずに進むことができる。



絶景だ。亀岩の上からは後方の「とんがり山」を除く全方向が開けている。太陽公園のシンデレラ城から、遠く瀬戸内に浮かぶ島までがよく見渡せる。日射しが強くて、ゴツゴツした亀岩の座り心地がイマイチだけれど、思う存分、景色と風を楽しめた。



亀岩の後方には「とんがり山」。相変わらず尖がっている。亀岩の端に「頂上まで110m」とあるが、水平距離なのか垂直距離なのか、あるいは頂上までの直線距離なのか、道の総距離なのか…。いずれにしても、平地の110mの何十倍もの時間と体力を消耗しそうだ。



亀岩での休憩で体力・気力も多少回復し、いよいよ「とんがり山」に向けての急坂に挑む。日の光が強くて、うまく写真が撮れていないのが残念だけれど、ロープ無しでは攀じ登ることは難しい坂が続く。



幸い岩はしっかりしていて、足元にさほどの不安はない。ロープも何本も平行に張られているので、背の高さなどに応じて持ちやすいロープを頼ればよい。



やれやれ、標高258mの「とんがり山」の頂上まで無事登ってくることができた。頂上にはちょっと休憩できそうな平坦地もあるけれど、眺望もなく長居したくなるような場所ではない。



とんがり山から北へ、峰相山に向けて縦走していく。印刷してきた先輩ハイカーのGPS軌跡図はあるものの、YAMAPもなく、現地の案内標識ばかりが頼りだ。



とんがり山に登る道も、峰相山への縦走路も生い茂ったシダで覆われたようなところが多い。地面には茶色く枯れ落ちた葉も多く見られるけれど、次から次へと新しい葉が生えてくるのだろうか。



分岐もなく迷いようのない道のように思えるように思えるけれど、YAMAPのGPS地図にも登山道が記載されていないものだから、歩いている方向がとても不安になる。峰相山の方向に間違いなく進んでいることを度々確認する。



シダが生い茂る道は次第に視界が開けた尾根道になってきた。とんがり山の山頂以降は、気持ちも冷めてしまい、峰相山へと着実に向かっていることも確認できた後は、のんびり散策モードになっている。



崖の上に座る大黒岩に立ち寄る。岩の前に置かれたミニチュアの鳥居のせいでデカく見えるけれど、実際の高さは3~4mくらい。登ればきっと絶景が楽しめるのだろうけれど、簡単には登れそうにない。



大黒岩を過ぎると、それまでは見られなかった赤テープが現れる。急坂もない。一層のんびりモードになっていく。



唐突に標高は244mの峰相山の山頂標識が現れた。とんがり山とは真逆のピーク感のない山だ。眺望もない。



とんがり山以降は、クールダウンモードで、呑気な山歩きだったのが、下山ではちょっと手こずってしまう。メインの下山道がわからないまま、林のなかの沢を下っていく。方向は間違いないのだけれど、このような道は突如として途切れてしまうことがある。



滝も崖もなく、途切れることなく下りてはこれたが、延々と張られた獣除けの柵に突き当たる。しばらく出口が見当たらず少し焦ったけれど、無事出口を発見することができた。



下山口からの帰路にあった看板。




本日の歩行軌跡。距離4.5㎞、獲得標高350m、所要時間は3時間。序盤のとんがり山への登り坂と亀岩がハイライトで、その後はあまり眺望もなく、歩きごたえにも欠けたけど、のんびりとした山歩きが楽しめた。最初の道間違いさえなければ、もっと楽しかったはずだ。