扇ノ山(新温泉町・鳥取)

 2021年11月15日


昨年シワガラの滝訪問と併せて登るつもりだった扇ノ山に向かう。昨年は想像を遥かに超えるシワガラの滝までの難路と滝壺の幻想的な雰囲気に圧倒されて扇ノ山挑戦を見送ってしまったが、今日こそは兵庫・鳥取県境にどっしりと腰を据えた楯状火山を制覇したい。



いくつかある標高1309mの扇ノ山に北側の河合谷から登っていく。水とのふれあい広場がスタートポイント。扇ノ山の伏流水が流れ出るこの辺りの水は、夏も冬も水温が変らないそうだ。



あいにくの曇り空だけれど、雨は大丈夫そうだ。登山口には、熊の目撃情報の看板がある。忠告どおり、熊鈴をリュックに取り付けたうえに、携帯ラジオもポケットに入れて、さあ出発だ。



登山口は既に1000m以上もあるので、標高1300m越の頂上まで、さほどの体力は要らないはず、と思っていたけれど、スタートから急な階段で、いきなr出鼻を挫かれてしまう。



階段を登り切ると、次は木道が続く。高丸山と同じく、積雪時の歩行に配慮したものだろう。



尾根道をしばらく登り続けると、扇ノ山名物のブナ林が始まる。既に葉はすべて落として冬の装いとなっている。熊対策にラジオをつけたけど、クリアに受信できる放送がない。この山ではラジオの意味があるのだろうか…。かといって熊鈴は立ち止まると鳴らないし…。



歩いても歩いてもブナ林。どこが道かがよく判らないけれど、方向に紛れはないので、歩きやすそうなところを進んで行く。




小ズッコ(1153m)。大した登り坂もないままに到着してしまったが、山頂標識の類は見当たらない…。登山前からズッコとは何なのか、とても気になっていたけれど現地にやってきても判らないままだ。



一面ブナ林で、どこだって歩けそうだけれど、要所には案内標識があるので、大きく道を間違えることはなさそうだ。



小ズッコを過ぎても相変わらずブナ林が続く。厄介なことに雲の中に入ったのか、周囲は真っ白になってきた。



小ズッコを過ぎて、大ズッコに向かう。急坂には木段が設置されているのが有難いけれど、結構泥濘が多い。大ズッコでズッコケるなんてことにならないように、気を付けて進んで行く。



GPSではここが大ズッコ(1273m)のはずなんだけれど、やはり山頂標識はない。登山道を通じて感じることだけど、なるべく余計な看板や標識は立てない主義のようだ。案内標識も木製で周囲の自然に馴染むものになっている。



いよいよガスが濃くなってきて、ブナ林の向こうは何も見えない。せっかくの1300m級の尾根歩きだというのに、眺望が無いのは実に残念だ。



誰かがブナの幹に文字を刻み込んでいる。同じ筆跡で何度も重ね書きされているように見える。おそらく同一人物がここに登ってくるために日付などを刻み付けたもののだろう。なんとも恥ずべき行いだ。



頂上の少し手前に展望台がある。鳥取市内がよく見渡せるところだと聞いていたけれど、柵の向こうは真っ白な世界。ここが高所であることさえ判らないような有様だ。



登山口から1時間10分ほどで扇ノ山(1309m)の山頂に到着。避難小屋がある山頂にやってくると、随分難易度の高い山を制覇したような気になるけれど、高所からスタートしただけに実のところ300mも登っていない。



自然調和を意識したかのようなシンプルな山頂碑。歩いてきた尾根道は鳥取県と兵庫県の県境だったけれど、山頂は僅かに鳥取県内に入りこんでいるようだ。



山頂からの眺望は…、やはり何も見えない…。真っ白だ。さほど疲れもなく、山頂に長居する理由もないので、休憩することもなく、そのまま下山する。



登ってきた道を、そのままなぞるように下っていく。ピストン登山でも登りと下りでは異なった景色が見えることが多いのだけれど、今日は特段の発見もない。ブナ林が続くばかりで、その周囲は真っ白だ。



ブナばかりの林だけれど、時折り杉の木もある。大きな洞を持った孤高の杉の巨木が、ブナに囲まれて立っている。



大ズッコ、小ズッコを過ぎて、標高1100mくらいまで下りてきた頃に、ようやくブナ林の向こう側の景色が見えるようになってきた。結局、特段の景色を楽しむこともなく下山完了。標高1000mを超える山は、やはり晴れた日に登りたいものだ。曇と晴では全然違う。



本日の歩行軌跡。北が登山口、南が扇ノ山。歩行距離は往復で6.3㎞、獲得標高は僅か403m。休憩なしで歩いて、所要時間は2時間26分。



標高グラフと歩行ペース。大した坂がないこともあって、珍しくコンスタントに標準ペースで歩けている。