住吉道から東お多福山

2020年6月17日

新しいトレッキングシューズを履いて六甲に出かける。早朝7時のバスで標高250mくらいにある住吉台まで行き、住吉道から西お多福山方面に登っていこう。暑くなりそうだし、今日は無理せずにシューズの履き慣らしのための軽ハイキングだ。(のつもりだった…)



さすがに朝7時は未だヒンヤリとしている。まずは開花し始めたあじさいロードを進み、先日歩いた石切道と分れて、住吉道に進路をとる。住吉川に沿った涼し気なハイキングを期待してのことだ。五助ダムからは勢いよく水が流れ出ている。



五助ダムの上流は湿地帯を通る木道など、ちょっとした高原ハイキングの趣き。天気も良く風は涼しく、シューズの具合も良く、快適に歩いていく。



住吉川の渓流を遡るように木立のなかの道を歩いていくと、エメラルド色の池などもあったりする。



背の高い木々に囲まれ、要所には石が敷かれた道には急登もない。しっかりとした石畳が残るところもあり、東海道五十三次の箱根越えを思わせるような道だ。



住吉川の渓流を渡る。梅雨入りで水量は多めのように感じられ、飛び石を伝って渡ることに多少の不安も過ったけど、新しいトレッキングシューズは期待通りのグリップ力を発揮してくれた。



徐々に気温が上がってきて日差しも強くなってきた。西お多福山に向かうつもりだったのが、住吉道後半の急登を嫌い、分岐点で東にトラバースする道を選ぶ。目標は東お多福山に変更、と思ったのも束の間、ひどく荒れた道で、倒木が道を塞いでいる。



やっとのことで、倒木をクリアしたと思えば、胸のあたりまで草木が生い茂り、進むべき道も見えない道が続く。左の斜面、右の崖の間に挟まれた細いトラバースで、少し右に寄れたり、崩落個所でもあれば、えらいことになる。



左斜面に身を寄せ、ストックで草に覆われた地面を確かめながら、長い時間をかけて慎重に進み、ついに写真の標識の左の茂みから勝手知ったる魚屋道(雨ヶ峠と本庄橋跡の間)に出てきた。歩いてきた道は「森林管理道」とある。身の程を知らない道の選択だった。



本庄橋跡を少し過ぎたあたりで、六甲山頂に向かう魚屋道と分れて東お多福山を目指す。細い道だけど、地面が見える道がどれほど安心で有難いものかと痛感する。



六甲山の前衛峰、標高697mの東お多福山。山頂には笹の草原が広がり、他の六甲山系の山頂とはかなり趣を異にする。大阪湾の眺望も楽しめるので、登山ビギナーに人気が高い山だ。



東お多福山山頂から奥池方面へと降りていく。粘土質の狭隘なV字状の道だけに、すれ違いが容易ではない。しかもまだ10時な訳だから、登ってくる人が圧倒的多数なのだ。



芦有道路に出てきた。予定ではここからバスで帰るつもりだったんだけど、まだ10時過ぎだし、シューズの具合も頗る良い。芦有道路は歩行者禁止だし、ゴロゴロ岳経由の柿谷道下山道はつい先日歩いたばかり…。



マイナーな道を歩くのは分不相応だと思い知らされたばかりなのに、芦有道路に併行する名も無き道を行くことにする。少なくとも方向を見失うこともないはずだ。と歩き始めたが、いきなり道に迷い沢を歩くことになってしまう。(写真では道のように見えるけど)



道は細々としているのだけど、橋は荷車や馬車などにも十分対応できるようなしっかりとしたコンクリート製のものが架かっている。芦有道路ができる前の旧道なのだろうか。この道の歴史が気になる。



料金所の出口あたりで芦有道路に出る。ここから先は普通の県道で歩行者も歩けるはずなんだけど、自動車が多く歩きたくない道だ。意を決して車道の下を潜り、飛び石で渓流を渡り、再び旧道?を進む。



軽ハイキングのつもりがひどく疲れてきた。デジャヴのように再び堰堤前の渓流渡り。高度も350m前後が続き、いつまでも下山できない…。



荒れた道を進んできたところ唐突に整備された道に出会う。この道の先が行き止まりであることはYAMAPで確認できるのだけど、旧道?の続きが見当たらず、やむなくこの道を進んでいく。



が、数百mほども歩いて、やはり道は行き止まり。どうやら水道施設に通じる保全路のようなもののようだ。戻るしかない…。



旧道の続きをアチコチと探した末に、ようやく草木が生い茂る藪に小さな赤いテープがあるのを発見。芦有の料金所まで戻るか、この藪に突入するかの二択を迫られるが、こうなりゃ進むしかない…。



草や木を掻きわけながら、坂を下っていく。蜘蛛の巣も多く、顔にまとわりつく。いい加減にウンザリしてきたところで、再び渓流の渡渉を余儀なくされる。摩訶不思議な恰好をした砂防ダム?の下流部だ。



この渡渉が相当やばい。ここまで新品のゴアテックスシューズのおかげで、度重なる沢渡りにも問題無かったけれど、ここは飛び石の間隔は広いし、石は尖がってるし、水流は早いし、水嵩もある。しかし渡渉しなければ、芦有の料金所まで再び戻るしかないのだ…。



悩みに悩んだ末にやっとの思いで向こう岸に辿り着いたときには精神的にヘトヘト。軽登山のつもりが今日も危なっかしい山行になってしまった。が、次こそは県道を歩こうと思っていたのに、さらに旧道?を進むことを選んでしまう…。麓までもう一息のはずだ。



これが有名な弁天岩かぁ…、と思って写真を撮影。小さな祠もあるので間違いないと思っていたのでけど、後で調べるとどうやら違う岩のようだ。周囲には他にも巨岩がゴロゴロしていたが、ひとつひとつ確かめて回る気力は失せていたのだ。



下るにつけて徐々に歩きやすい道になってきた。もう一息で芦屋の市街地、というところで、「私有地につき立入禁止」の標札が行く手を遮り、少々手間取ったけど、無事芦屋まで戻ることができた。



本日の歩行軌跡。トータルで13㎞以上の歩行距離だが、その大半は山の上り下り。へなちょこハイカーとしては結構タフなハイキングになった。



帰宅後、森林管理道や芦有旧道?のことをネットで調べてみたけど、進むのに難儀したなんて誰も書いていない…。YAMAP、YAMAKEI、YAMARECOなどに記録を残す人は、総じて山の熟練者とは判っているけれど、自分のレベルの低さをあらためて思い知らされた。