山麓リボンの道(3)東須磨~西垂水

2020年6月27日

山麓リボンの道もいよいよ3日め。総距離45㎞のうち30㎞を踏破し、いよいよ須磨・垂水両区の15㎞を残すばかりだ。山陽電車の東須磨駅をスタートし、ゴールの西垂水駅を目指す。



須磨離宮公園。この公園の向こうには六甲縦走路序盤のハイライトである馬の背や栂尾山が連なっている。ここから縦走路までの直線距離はわずか1~2㎞でしかない。



源平ゆかりの須磨寺。ここに限った話ではないけれど、名所旧跡の正面に駐車場は邪魔で仕方ない。インスタなどで見栄えがますます重視されるのに、山門の阿吽像の前などに車を駐車させるのは、公共財ともいえる貴重な文化資産を台無しにしていると思うのだ。



少し道を間違って須磨寺駅に来てしまったけど、ここにある「平重衡とらわれの松跡」の碑もひどく虐げられている。松が枯れたのは仕方ないけど平家の総帥が捕らわれた歴史の大事件の現場に、わずかな広告収入を得るための看板を立てるなんて残念で仕方ない。



須磨の関守跡の碑がある関守稲荷神社。境内には百人一首に採用されている源兼昌の「淡路島通う千鳥の鳴く声に幾夜寝覚めぬ須磨の関守」の歌碑があるが、これ以外にも須磨を詠んだ数多くの歌が並んでいる。



山陽須磨駅の北側は急勾配の道ばかり。地元の人でも結構辛い道なんだろう。道の途中に休憩用のベンチが見られる。



山陽須磨駅とJR須磨駅の間、国道2号線沿いに美味しい唐揚げ屋さんがある。コンビニのチキンやスナック菓子の監修をし、マスコミもよく取り上げられる有名店だ。我慢しきれず買い食いをしてしまう。15㎞程度のウォーキングではカロリー消費できそうにもない。



一の谷に続く長い階段を登っていく。一の「谷」に登るというのは妙なことだけど、ここの階段はいつ来ても凄い。



鉄拐山の山裾近くの小さな平地に、安徳天皇の内裏跡と伝わるところがある。ちょっと待て。安徳帝の行在所って大倉山のあたりにもあるぞ。そもそも福原から離れたこんな辺鄙なところに大切な幼帝を住まわせるものだろうか。



この地にゆかりも無い皇女和宮像がある。とある有徳者が市内の女学校に寄贈した像のひとつと思われるとの説明があるが、どうも腑に落ちない。安徳帝内裏にせよ、到底馬で駆け降りることができそうにない逆落とし伝説にせよ、須磨には納得できない話が多い。



逆落としの現場と伝わる(個人的には、逆落としの現場に関しては鵯越説を支持しているが…)急な階段を降りたところには、多くの自転車が置かれている。急坂の上に住む人たちは自転車で自宅に戻れないため、ここからは歩かざるをえないのだろう。



須磨浦公園駅。六甲山系の山裾となるところで、六甲縦走もここがスタート地点となる。ここで山麓リボンの道も終点としてもいいと思うのだけど、きっと設置者の意図としては、神戸市を東端から西端まで歩かせたかったのだろうと思う。



須磨浦公園駅を過ぎると、鉄道と海岸に挟まれた国道2号線の歩道を延々と歩くことになる。もはや海岸歩きといった方が近い。国道2号線で垂水区に入る。須磨区と垂水区の境界が、かつての摂津と播磨の国境のはずなんだけど、それらしい標識が見当たらない。



山陽電車の細い踏切を渡って塩屋の街に入っていく。さほど高くはないけど、急な坂道が入り組んだ、歩くには厄介な(でも楽しい)街なのだ。



塩屋からさらにジェームス山へと登っていく。イギリスのジェームスという貿易商がここに外国人のための住宅地を開発したことに由来するが、今も素敵な洋館をいくつも見ることができる。



ジェームス山の石標に、「山麓リボンの道30周年ウォークラリーキーワード」のシールが貼られている。調べてみると去年の秋に開催されていた山麓リボンの道完歩イベントのシールが剥がれずに残っているようだ。知らなかった。是非とも参加したかったものだ。



ジェームス山には、今も外国人専用の住宅ゾーンがある。数万m3はあるだろう。プールやテニスコートなどもチラッと見える。入口には極めて強圧的な立入禁止の看板が立っていて、租界地のような雰囲気だ。



東垂水駅に下りてきた。このあたりはJRと山陽電車が隣接して走っている。JRは複々線となっていて、計6条の線路が2条ずつ、まるで棚田のように階段状に設置されている。歩行者がすべての鉄道を超えるためには、長い長い歩道橋を使わなければならない。



山麓歩きといいながら、長い歩道橋を下って平磯海浜緑地のなかを突っ切り、ようやく垂水の中心部にやってきた。海上安全の神様を祀る、その名もズバリ「海神社」の大鳥居が岸壁に向かって建っている。



垂水の街を通り抜け、五色塚古墳にやってきた。長さ200mほどもある大規模な前方後円墳だが宮内庁管理でないだけに大胆な整備と公開が行われている。その向こうのコンモリしているのが小壺古墳。こちらは円墳だ。さらにその向こうに明石海峡大橋が見える。



このまま舞子の海岸に下りるのかと思いきや、今度は丘の上に立つホテル、舞子ビラまで登らされる。やれやれ疲れてきた。



ようやく舞子の明石海峡大橋の袂までやってきた。やや霞んではいるけれど淡路島がしっかりと確認できる。



舞子からさらに一駅分海岸沿いに歩いて、ようやく西舞子駅前にあるゴールポストに辿り着いた。総距離は45㎞。六甲縦走(公称56㎞と言われるが、実は45㎞しかないらしい)と奇しくも同距離だ。疲れ具合はまるで違うけど、手応えのあるウォーキングだった。



山陽電車の西舞子駅から帰路につく。ホームは狭いのだけど、無理やり感のある細いベンチが設置されている。普段なら立っている方がマシと思えるベンチだけど、今日ばかりはありがたく腰を下ろさせてもらった。



本日の歩行軌跡。歩行距離は16㎞弱。3日に分けて歩いたけれど、うまく距離配分ができた。