苦楽園~観音山~ごろごろ岳~柿谷道

2020年6月7日


阪急ハイキングのバックナンバーを参考に、苦楽園から北山貯水池、観音山、ゴロゴロ岳を経て、柿谷道で芦屋に下山しよう。六甲山系の数多い登山道のなかには初心者には手に負えない難路も多いが、阪急ハイキングに採用されているコースなら間違いない。



阪急甲陽線の苦楽園駅から夙川の河川敷を北上する。雲ひとつない真っ青な空の下をマルーン色の列車が夙川橋梁を走り抜けていく。マルーンって確かマロンのことのはず。栗色とは思えないんだけど、フランスの栗ってこんな色なんだろうか??



越木岩神社に立ち寄る。甑岩と呼ばれる酒米を蒸す甑に似た巨岩がご神体として鎮座している。大阪城築城の際に石垣に転用すべく、石工が切り出そうとしたところ、突如噴出した白やら赤やらの煙に巻かれて、石工たちは死んでしまったのだそうだ…。



北山公園にやってきた。植物園を中心に、この公園全体が大規模なハイキングエリアになっていて、歩きごたえのある道も多い。



北山貯水池。何度も来たところだけど、これほどの晴天での訪問は初めてなので、何もかもが新鮮に感じる。池の向こうの甲山もいつもにも増して優雅な姿に見える。



北山貯水池から西へ、鷲林寺まで登ってきた。空海が開基したと伝わる古刹だ。大規模な寺院だったようだけど、荒木村重の反乱の際に織田信長軍の焼き討ちにあい、長らく廃寺となっていたものが、昭和になって再興されたそうだ。



鷲林寺の境内から、奥池・ゴロゴロ岳方面に向かうルートは2つ。阪急のマップでは「せせらぎコース」が指示されているが、名前に惹かれて険しそうな「パノラマコース」を進んでしまう。安全第一とは思いつつも、冒険心を抑えきれない悪癖が出てしまう。



思いのほか険しい道だ。でも楽しい…。岩を攀じ登って観音山の頂上を目指す。



無事観音山の頂上にやってきた。標高は526m。大きな岩が多数積み上げられ、そこには「観」「音」「山」の三文字が彫られている。



最高に澄み渡った青空にも恵まれ、頂上からの眺望は申し分ない。左足元には先ほど歩いた北山公園、右手には大阪湾が広がっている。気持ちのいい風もあって、いつまでも頂上に座り込んでいたい気分になる。



結果論からいえば、パノラマコース選択は大正解。爽快な気分で観音山を下山し、奥池方面に向かう。せせらぎコースと再び合流して、岩の斜面を攀じ登っていく。



ひとつ岩肌を登りきると、そこから先はほぼフラットな林道が続く。快調に歩いていたのはいいけど、奥池に立ち寄るための分岐点を見過ごしてしまう。まあ、奥池は何度も行っているので、バイパスしても良かろう…。



奥池をバイパスして、ゴロゴロ岳の頂上へ。標高が565.6mだからゴロゴロ岳になったというのは嘘のようだけどホントのことらしい。ところが、最新の測量では565.3mになっているというが、今更名前を変える訳にもいくまい。



奥池の住宅街(別荘街?)の端っこを通って下山していく。芦屋川に沿った柿谷道ルートだ。



甑岩以降、巨石や巨岩の多い道を歩いてきたけれど、ゴロゴロ岳以降も相変わらず岩がゴロゴロした道だ。ちょっとした弾みで、下り坂を転がり落ちていくのでは、と思わせる岩も散見される。



あまり行儀のよい方法ではないのかもしれないけど、岩肌にペンキで道案内が書かれていたりもする。が、人工的な鉄製の標識と比較するならば、なんとなく岩に書かれた道案内の方が景色に溶け込んでいるようにも感じる。



最近、谷道ばかり歩いているような気がする。谷底の渓流に沿ったウォーキングは涼しいのはいいけれど、太陽の光が届かない暗く湿っぽい道を進むことになる。たまに空が抜けるような場所に出てくると太陽が随分と眩しく、そして嬉しく感じる。



しばらく歩くと草木が生い茂り、道が随分と狭まっている。道よりも肩幅の方が広いくらいなので、腕に纏わりつく草木ばかりか、毛虫や蜘蛛が実に鬱陶しい。



観音山でも見かけたが、蛍光灯を縦にして地面に差し込んだような不思議な光景が広がっている。どうやら、植樹したばかりの木の苗を円筒型のプラスチックでガードしているもののようだ。



円筒プラスチックを上部から見ると、まだ幼い苗木がずっと底の方に見える。円筒プラスチックは苗木を獣害や強風から守る一方、太陽光や雨水は苗木に届けることができるようになっているようだ。



鉄塔のところで、男坂と女坂に分かれる。結局同じところに下りていくのだけど、おそらく男坂の方が急坂に違いない。ここは阪急マップに従って無難に女坂を下りて行こう。



湧き水が流れる岩だらけの道を下りていく。女坂は緩やかな下りだと思っていたけれど、かなりの急坂だ。



ゴロゴロと転がる石だらけの下り坂に辟易としてきたころ、唐突に自動車道に出くわす。芦有自動車道路の出口付近のようだ。



かなりの高所にまで広がっている芦屋の住宅街を通り抜け、阪急芦屋川駅に到着。駅前の小さな広場は朝にはハイカー達の集合場所として賑わうところだ。ついしばらく前までは「登山自粛」の貼紙があったのだけど、今では撤去されている。



本日の歩行軌跡。歩行距離は12㎞くらい。