2020年6月9日
梅雨と猛暑がすぐそこまでやってきているので、山に登れるのも今のうち。今日も飽きもせずに六甲登山だ。例によって阪急ハイキングのバックナンバーを参考に、未踏破のシュラインロードを歩いてみることにする。
神戸電鉄三田線の有馬口駅からスタート。有馬温泉行の列車が枝分かれする駅だ。六甲山系の北に位置するこの駅の標高は既に300m近く。日中の最高気温30度が予想されるとはいえ、かなり楽な登山になりそうだ。
有馬口駅から山に向かって南下。既に田植えの終わった田んぼの向こうの山肌には六甲山系をトンネルを抜けてきた阪神高速7号北神戸線が走っている。
奥山川に沿って逢山峡と呼ばれる谷合の道を進んでいく。簡易なものではあるけれど舗装道が続き、奥山川を服抜けるようにいい感じの風が吹いている。さらに、ちょっとした滝なんかもあって、とても快適な納涼コースだ。
恐る恐る滝の上に出てみた。柵もなんにも無いけど、これ以上は恐ろしくて滝に近づくことはできない…。足を踏み外したら間違いなく一巻の終わりだ。
不思議な道路標識がある。9月から11月の間の土日・休日の9時~20時が二輪のみ通行止めとなっている。何故このような条件の規制がされているのか、いろいろと推理をめぐらせたが、季節・曜日・時間帯などを考えるとハイカーとの軋轢くらいしか思いつかない。
シュラインロードへの分岐点にやってきた。標識が無ければ立ち入ろうという気にならないような。心細い道に感じる。どうしたことかシュラインロードに入った途端に風が吹かなくなり、ムシムシとしてきた。
しばらく進むと、道幅は少し広がり、そして鳥居が現れた。付近に神社などは無いように思いながらも、とにかく先に進む。
鳥居を抜けて間もなく裏六甲ドライブウェイを横断し、六甲山上に向かって登っていく。ここからが本格的なシュラインロードになるようだ。
シュラインロードには数多くの石仏が見られる。石仏の姿かたちは個々に異なるものの、祠の造りや石仏の大きさや風情には統一感がある。同じ時期に誰かが一気に制作・設置したものだろう。
行者堂。多数ある石仏とは違って、厳しい目つきの仏様が納められている。
シュラインロードを歩き続け、六甲山ホテルの横に出てきた。「瀟洒」という言葉はこのホテルのためにあるような気さえする。最近、耐震補強工事や経営譲渡があったけど、気品の高さに変わりはない。
六甲山上の郵便局。最近の郵便局は随分変わってきたとは思うけど、ここでは局舎内にあるパノラマテラスやトイレなどを無料開放しているようだ。
日本で最初のゴルフコース、神戸ゴルフ倶楽部のなかを進む。ボール除けのケージの道がハイカー用にゴルフ場の真ん中を貫いている。近代登山もゴルフも在留外国人が六甲山で始めたものだが、双方がうまく折り合いを付けながら発展してきたようだ。
みよし観音。1964年の飛行機墜落で最後のひとりの乗客を救出するために果敢にも燃えさかる機内に戻ったところで爆発のため還らぬ人となった麻畠美代子さんというスチュワーデスを祀ったものだ。当時わずか21歳、あまりに壮絶で悲しい殉職だ。
みよし観音からすぐ、石切道から下山する。六甲山で切り出した花崗岩(御影石)を運んだ道だ。
しばらくは比較的平坦な道が続く。最近日が当たらない谷合の道を歩くことが多かったけど、石切道は尾根に近い道筋のようで、開放感があって気持ちよく歩ける。
などと思っていたら、標高700mあたりまでやってきたところで、急な下り坂が連続して待ち構えている。へっぴり腰になりながらロープを頼りに下っていく。
誰かが道に敷いてくれたものなのか、あるいは山の上から流れ込んでたものなのかは不明だけど、なんとも歩きにくい石がゴロゴロと転がる道が続く。
木々の隙間から、これから下りていく神戸御影の街並みや海が見える。これが尾根道(正確にはトラバースというべきかもしれない)の楽しみだ。
まだ標高は400mくらいはあるはずなんだけど、道が広がり、そして舗装道になったと思ったら石切場(あるいは切り出した石の置き場かもしれない)が現れた。これが御影石だろうか。磨いていないと、ただの花崗岩としか見えない…。
歩道道は石切り場あたりだけで、再び地道となる。ここまで尾根道を歩いてきたが、いよいよ谷底に向かって転がり落ちそうな急坂を下っていく。
急坂を下り渓谷まで下りてきた。住吉川の上流だ。まだ標高は200mほどというのに、こんなところにまで高層の集合住宅が何本も建っている。歩くのも大変そうなところだけど、豊かな自然と街へのアクセスが両立するところとも感じる。
南へ南へと歩き、豪邸街を通り抜けて、阪神の御影駅でゴール。駅名のパネルは御影石にように見えるんだけど、違うかなぁ…?
本日の歩行軌跡。約16㎞の六甲縦断だ。
YAMAPで歩行経路を3D化してみた。操作方法がどうも理解しきれない…。