白旗山(上郡町)

 2021年10月2日 ①


西播磨山城スタンプラリー、5城めは「落ちない城」として売り出している白旗城だ。1年振り3度めの登頂だけに新鮮味には欠けるけれど、スタンプラリー制覇のためには再度登るしかない。少し早めに家を出て、白旗城、上月城、楯岩城の1日で3城の攻略を目指す。



昨年は河野原円心の駅からスタートして、白旗山を東西に横断して野桑まで歩いたけれど、今日は細野登山口からのピストン。最短コースで一気に攻城を済ませてしまいたい。赤松家の左三つ巴紋のある登山ゲートをくぐって山に入っていく。



山道に入るとすぐに見慣れないものがある。登山者数の記録を自動カウントする装置なんだそうだ。勝手な想像だけれど、山城のキャンペーンを大々的に繰り広げているだけに、その成果を定量的に把握するためのものだと思われる。



いつの頃からか「落ちない城」にあやかって、トイレの横には合格祈願絵馬を販売する自販機が設置されている。近代戦では白旗といえば降参の際に掲げるものだけれど、日本では源氏の旗印。ある日、突然白旗がこの山に舞い降りたそうだ。



傍には合格祈願の絵馬掛所が設置されている。実はこの絵馬掛所は、登山口以外に白旗山頂上、そして河野原円心駅の3ヶ所にある。ご利益にあずかりたいなら、若いんだから山頂まで登るべきだと思うぞ。汗もかかずに成果をゲットできるほど世の中は甘くはないぞ。



トイレの前から本格的な登山道が始まる。お助け杖がたくさん用意されているのは有難いけれど、どうしてこんなにひん曲がったものばかりなのか…。元は真っすぐだったものが、乾燥して歪んでしまったのだろうか。



最初のうちは林のなかを進む、ほどほどの坂道。まだ朝の8時半、前方からの朝日が眩しい。



登山道にはケルンのような石積みが所々に見られる。これって気を遣うんだよなぁ…。宗教的なものではないとは判っていても、誤って崩してしまうと、思わぬ祟りでもありそうだ。



坂道は徐々に勾配を増し、緑色に苔むした岩がゴロゴロと転がった道となる。新田義貞が6万の兵で攻めても落城しなかったというけれど、こんな狭隘な山道に一度に攻めかかれるのはせいぜい数百人ではないか。しかも一列縦隊にならざるをえない。



急峻な山に守られているうえに、ヒルの伏兵もアチコチに潜んでいるという。しかし靴にはヒル除けスプレー(ヒル下がりのジョニー)をたっぷりと吹き付け、帽子には虫除けのオニヤンマ君。最強の援軍を引き連れて、難攻不落と謳われる白旗城へと攻め上っていく。



ようやく稜線が見えてきた。しかしあの稜線から弓矢で攻撃されたら避けようがなさそうだ。



稜線まで上がってくれば、急な坂に悩まされることなく、山頂に向かっていくことができる。



もっとも、それはそれで、ゴツゴツとした坂や堀切などもあって、容易に本丸に侵入させない仕掛けが施されている。



二の丸跡。図面によれば白旗城は4つの郭を有していたようだ。太平記では籠城兵力が2000と記録されているので郭ひとつ当たり500人という勘定になるけれど、そんなに収容できるかなぁ…。まあ太平記の兵力など数字を盛りまくっていることは誰もが認めるところだ。



登り始めて1時間余りで本丸跡までやってきた。ここが白旗山の頂上でもある。絵馬掛所があるけれど、麓と比べて半分くらいの絵馬しか掛かっていない。ここまで頑張って登ってきた人には是非合格してもらいたいものだ。



YAMASTAのスタンプも無事ゲット。右が新田義貞で、左が赤松円心のように思える。義貞は白旗城を攻めあぐねたことで武将としての評価をひどく貶められているけれど、そもそも鎌倉幕府打倒に粉骨した赤松をまるで評価しなかった後醍醐天皇の失政に思えてならない。



標高439mの山頂の木々の隙間からは、円心の館があった赤松の集落を見下ろすことができる。新田軍が、きっと一気に焼き払ったであろう赤松の集落の様子を、円心もここから見ていたはずだ。



山頂にある古びた説明板に重要な事実が秘かに記載されている。「落ちない城」として売り出している白旗城だけれど、赤松が足利将軍を殺害した嘉吉の乱で落城しているのだ。「白旗城も落城か?」と?を付けているのが、苦しいぞ。



白旗城攻略を終え、再び激下りの道を細野登山口へと戻っていく。幸いヒルにも襲われることなく、覚悟してたほどには疲れていない。



谷道にゴロゴロと転がる石は、赤松軍が新田軍に城から落としたという「谷落としの岩」だ、とパンフレットには案内されているけれど、そうかなぁ…?。城から離れたところまでビッシリと大きな石が一面に転がっている。人の手によるものとは思えない。



歩行軌跡。距離3.9km、獲得標高443m。所要時間は2時間17分とまずまずのペース。あと2城を巡るには時間的には十分だ。上郡の観光案内所で缶バッジも貰って、次は上月城攻めだ。(②に続く)