豊川稲荷参詣

2020年3月21日 ②


赤坂~岡崎の東海道五十三次ウォークを終えた後、小一時間かけて豊川稲荷に向かう。三大稲荷のひとつに数えられるほどメジャーなんだけど、伏見稲荷大社の総本社とする神社ではなく「お寺」だという。どうにも理解できない。実際に行ってみるしかない。



駅から商店が立ち並ぶにぎやかな道を10分ほども歩くと豊川稲荷の門前に到着する。門柱には「豊川稲荷」とだけ刻まれていて、ここでは寺とも神社とも判断がつかない。



境内に入ると大きな鳥居、その前に稲荷神の神使である狐が鎮座している。何の変哲もない稲荷神社の風景だ。



が、鳥居の先にあるのはいかにもお寺の本堂だ。神社ではありえない瓦葺きの屋根だし、拝殿にあるべき妻もない。



カメラのフレームから鳥居が無くなると、完全に寺院の風景になる。この参道を東京オリンピックの聖火リレーが走るようだ。



豊川稲荷の正式名は妙厳寺。曹洞宗の寺院だ。ここでは吒枳尼天(だきにてん)という天女をお祀りしている。吒枳尼天は稲穂を荷い白い霊狐に跨っていることから、いつしか「豊川稲荷」が通称として広まったそうだ。



賽銭箱が大きい。大きな神社やお寺はかつてはこのような幅広の賽銭箱だったように思う。今は行儀よく最大3列で並んでお詣りしているところが多い。真正面からしかお詣りできないことは無いし、神様も仏様も一度の受付が最大3人なんてはずはない。



今は境内に神社と寺院の双方が混在しているが、明治初期には神仏分離令に基づき、鳥居は撤去されたそうだ。再度鳥居が立ったのは戦後なんだそうだ。一方で戦国時代に建築された古い山門もある。なんと今川義元が寄進したものなんだそうだ。



豊川稲荷を満喫し、門前の商店街を散策しながら駅に戻る。いなり寿司の店が随分多く目につく。一説には、豊川がいなり寿司の発祥の地とも言われているようだ。



JR豊川駅と名電豊川稲荷駅が共有する駅舎の前には、狐と人間が仲良く踊る像がある。人を騙すとも言われるが、田んぼを荒らす害獣のネズミを食べることから、農耕する人々にとって狐は益獣だったようだ。



豊川市のマンホールにも狐が描かれている。豊川市といえば、昨秋日本で初めてマンホールの蓋を企業の有料広告に使ったことで話題になったところ。他の市町村にも広がるのか注目しているのだけど、実際の企業広告マンホールには出会えなかった。