2020年11月9日 ①
宍粟市の東山に出掛ける。標高は1015mあるものの、キャンプ場や温泉を併設したフォレストステーション波賀というリゾートエリアに近く、よく整備された登山道だと聞く。
フォレストステーション波賀にやってくると、いきなり色鮮やかな紅葉が出迎えてくれる。これは楽しい登山になりそうだ。
ところが到着早々、雨がパラつき始めた。雨雲レーダーを見ると、この周囲だけが小さな雨雲に呑み込まれている。仕方なく、リゾートホテルのなかの土産物屋などをぶらついて、雨が上がるのを待つ。
多少は小降りになったところで、シビレを切らして見切りスタート。リゾートエリアのなかの舗装道を登っていく。今のところはリュックからカッパを取り出して羽織るほどの雨でもない。
延々と舗装道が続く。ひょっとして、このまま舗装道のまま山頂まで行きついてしまうのではないだろうかとさえ思わせてくれる。
20~30分は歩いただろうか。ようやく登山口にやってきた。ここからは登山道っぽくなっていくのだろうか。
そのうちに止むだろうと思って歩き始めたけれど、登山路に入っても小雨が降り続いている。路上には水溜まりも現れ始めた。雨のなかを1000m超の山に登っていくことにちょっと不安が芽生え始める。
登山路はよく整備されているが、さすがに1000m超の山だから当然登り坂が続く。雨は鬱陶しいが、ガシガシ登っていく。
ようやく秋色に染まる尾根道まで登ってきた。ここまで来てようやく雨はあがったようだ。もともと雨も小降りだったこともあり、幸い地面は緩んでいない。
ベンチが置かれた休憩所が現れた。雨は上がったけれど霧が深まてきた。南から北へと尾根を越えるように霧が動いていくのが見える。
ひょっとしたら雨が上がったのではなく、雨雲の上まで登ってきたのかもしれない。眼下に広がる霧は雨雲なのかもしれない。
休憩ベンチを過ぎると、それまでほどには整備されていない道になるけれど、危険場所もなく、しっかりとした標識もあり、道に迷うようなことはない。安心して頂上を目指すことができる。
幸い雨雲は去ったようだ。馬の背状の林道を快調に進んでいく。標高600mを超える地点から登り始めたとはいえ、道がよく整備されているせいか、疲れはほとんど感じられない。
ちょっとゴツゴツした岩場も現れるけれど、ごく僅か。岩っぽい山が多い播磨地方にあって、珍しく岩山らしくない山だ。
小雨が降るなかでの登山になり、心配もあったけれど危なげなく頂上にやってきた。気持ちのいい広場になっていて芝生まで貼られている。展望台に登るまでもなく四方に視界が広がる。
大気の状態が不安定で雲が立ち込めるが、かなり遠方の山々の姿を見渡すことができる。もっとも「両海展望の頂」と呼ばれるが、瀬戸内海はともかく日本海が見えるのは相当条件が整わないと難しいように思う。
帰路は谷合の道を下っていく。木々が美しく色づいている。
紅葉した木々よりも更に美しいのは、落葉の絨毯だ。赤、黄、緑と様々な色のモミジの葉がパッチワークのように地面を覆っている。踏みつけて歩くのが申し訳ないような気持になってしまう。
あまり日が差し込まず薄暗い谷合の森のなかを下っていくが、急斜面はない。ポールなしでも安心して下っていける山は久しぶりだ。
帰路は雨にも降られることなく、緩斜面をのんびりと下ってきた。良くも悪くも山っぽさを感じさせない山だった。今回は時計回りで東山を巡回したけれど、反時計回りで歩くのも面白そうだ。
下山口の渓流にはクリンソウ(九輪草)が自生している。春になれば鮮やかなピンクの花が咲くのだろう。播磨から但馬にかけての山地は全国的にも少ないクリンソウの自生地らしいが、未だに開花しているところを見たことがない。
下山口からフォレストステーション波賀に向けて、楓や柏の落ち葉が敷き詰められた道を歩いて戻っていく。
無事周回を終え、フォレストステーション波賀に戻ってきた。砥峰高原では見ることができなかったススキと紅葉のコラボレーションがここでは楽しむことができた。
本日の歩行軌跡。累積標高は400mほど、距離は6㎞強。ほとんど疲れもなく、1000m超の山に登ったという実感がない。