雄岡山~雌岡山(神戸市西区・三木市)プチ縦走

2020年7月20日


神戸電鉄粟生線に乗って神戸市の西端にある雄岡山(おっこうやま)と雌岡山(めっこうやま)に出かける。神戸電鉄粟生線の緑ヶ丘駅からスタート。単線区間の無人駅だ。駅の東側には三木ニュータウン、西側には名門広野ゴルフ倶楽部が広がっている。



広野ゴルフ倶楽部の南側をぐるっと回り込んで雄岡山の登山口にやってきた。雄岡山と雌岡山はほぼ同じ形と高さで双子のように(神話によれば夫婦らしい)約2㎞離れて並んでいる。今日はこの2つの山を順に登っていこう。超低山とはいえ縦走気分でスタートする。



地元の早朝登山のメンバーによるもののようだけど、道はとても綺麗に整備されている。住宅街の近くだというのに、ゴミの類が一切見られないことには感服してしまう。



この山でもキノコがたくさん観察できる。緩やかな山道なので撮影も容易だ。のんびりと歩いてきたつもりだけれど、登山口から15分もかからずに標高242mの頂上に到着。う~ん、これではさすがに手応えが無さすぎる…。



頂上には小さな石の祠が寂し気に建っている。大福神の御札があるけど、祠のなかには稲荷神の狐やら信楽の狸やら、誰が持ち込んだのやら様々なものが祀られている。



雄岡山を下山し、続いては雌岡山に向かう。登りと同様、下りも至って緩やかだ。この辺りは大丈夫だとは思うけれどヤマビルやマムシには要注意で気が抜けない。



下り道の方が視線のせいか光の加減のせいか、キノコが多く見つかる。毒キノコらしきものも多そうだ。色々なサイトやアプリも確認したけど、Googleレンズと同程度かそれ以下の使い勝手と信頼度に感じる。



縦走とは言ったものの、雄岡山と雌岡山の間には田園が広がり、一般道を1㎞ほど歩かなければならない。



雌岡山の登山口にやってきた。雄岡山とは異なり、林のなかを舗装された道が頂上に向けて整備されている。しかも梅林とか紫陽花の街路樹なども植樹されていて下草もしっかりと刈り込まれている。歩きやすい道だけど、キノコ観察には不向きな道だ。



蝉時雨のなかを雌岡山の山頂に向かって歩いていく。蝶の姿も多くみられる。昆虫採集にはもってこいの場所のようだ。



雄岡山が祠ひとつだったのに対して、雌岡山の山頂には神出神社の立派な社殿がある。山とか滝とかに雄雌一対で名付けられている例は多々あれども、知る限り雌が大きくメインになっているのは珍しいように思う。標高もわずか7mとはいえ雌岡山が上回る。



似たような眺望だと思うけど、雌岡山だけが神戸眺望10選に採択されていて縫い針のようなモニュメントが建てられている。まあ夫の雄岡山が小豆島の女神に会いに行く途中で海に溺れたという神話があるくらいなので、妻の雌岡山の方が威張っているのも仕方ない。



雌岡山の頂上付近にはカタクリが自生地がある。4月には薄紫色の花を咲かせるらしい。今や自生のカタクリは希少なものらしく、柵で囲われて保全が図られている。



所詮里山歩きのつもりの軽装備のうえに詳しい地図もない。まあ小さな山域だし、どちらに下山しても住宅地なのだからどちらに向かっても大した違いもあるまい、姫石神社・裸石神社に向かうという道の標識に従って呑気に下山していく。



これが姫石神社。大きな岩がご神体のようだ。どうやら女体を象徴した巨石らしい。



しばらく進むと裸石神社がある。拝殿の裏手の本殿らしき建物がガラス窓になっていて中を覗き込めるようになっている。こちらは男性を象った石をお祀りしているようだ。子宝に恵まれるご利益が得られる神社のようだが、ひどく不便なところにあるものだ。



裸石神社の裏手に回ってみると、手元の地図には載ってはないけれど、決して歩きにくくはない道が麓の方に向かって続いている。



安心して下山を進めていると、突如背が高く草叢に行く手を遮られる。もうすぐそこに民家の屋根が見えているというのに…。アチコチと探したものの迂回できそうもない。密生した草叢を突っ切るしかなさそうだ。



が、草叢に入ると、大きな蜘蛛が巣を張って行く手を阻んでいる。蜘蛛の営みを邪魔するのは心苦しいが、一旦林に戻って適当な木の枝を手にして蜘蛛を叩き落としながら進む。体中に色々なものが纏わりついているような感じでようやく草叢を脱出する。



草叢を脱出したところにあった何かの作業場にカラスの死骸のようなものが吊り下げられている。カラス除けに効くという話を聞いたことがあるし、そのためのカラス模型も売られていると聞く。きっと模型だ、と思いながら観察したが、遠目にはよく判らない。



山から脱出した場所を確認し、緑が丘駅に戻るのではなく2駅先の志染駅に向かうことにする。神出山田自転車道というのが、田園のなかを貫いている。こんな立派な道が自転車と歩行者専用だなんて凄いぞ。しかも他に誰もいない。



淡山疎水。説明板によると、この辺りは元来水が少ない土地であり畑作中心だったのが、六甲山系の水を引き込み米作に転換したしたそうだ。



確かにこの辺りには溜め池が多い。溜め池がなければ農耕は成立しない土地だったのだろう。溜め池の向こう、写真の左端に見えるのが雌岡山、右側が雌岡山だ。



神戸電鉄志染駅から帰路につく。ホームを2面持つ粟生線の主要駅のひとつだ。



本日の歩行軌跡。わずか8㎞ほどのウォーキングだったけれど、しっかりと汗をかいた。