2020年7月23日
しばらく訪問していない赤穂に出かける。赤穂といえば忠臣蔵なんだけれど、それ以外にも多くの見どころがある。「赤穂まちあるき」というスマホアプリをダウンロードして兵庫県の西端の街に向かう。
降り立ったのは播州赤穂駅のひとつ手前の坂越駅。ここから赤穂駅まで(1)レトロな港町から海岸沿いを歩くか、(2)駅舎の向こうに見えるのが雄鷹台山を縦走するか、天気次第と思ってやってきた。ジメジメしてはいるが雨は大丈夫そうだ。雄鷹台山に登ろう。
「赤穂まちあるき」のガイド画面によると所要時間は3時間。距離は、げぇ~っ、16.43㎞だとぉ?山道を時速5㎞以上で歩くなんてあり得ない…。なんだか不安はあるけれど雄鷹台山の登山口に向かって歩き始める。
登山口を見つけるまで少々手間取ったけど、順調に雄鷹台山に向けて坂を上っていく。人気のある山ではないけれど登山道はよく整備されている。地元の人たちが日常的に散策しているところなのかもしれない。
一体どういうことだろうか。タイヤもなく骨組みだけが残った車が2台も見られる。20年ほどは捨て置かれているのではないだろうか。確かに登山道にしては道幅は広く整備されているけれど、こんなところに車がどうやって侵入してきたのだろうか。
まだまだ中腹だけれど坂越の街がよく見渡せる。どうやらこの山はかなりの痩せ山のようで高い樹木も深い茂みもないので眺望は素晴らしい。
低山とはいえ、そんな歩きやすい道が続くとは思ってはいなかったけど、土砂崩れの跡のようなどえらい坂が現れた。
ロープに助けられながら坂を攀じ登る。振り返れば登ってきた険しい坂道、そしてその向こうには、のんびりとした田園地帯が広がる。
赤穂の海岸にある火力発電所からの送電線だろう。山には何本もの鉄塔が立っている。
急坂の後、しばらく平坦な道が続いてホッとしていたら、またまた行く手に急坂が現れた。
この山の地質は主に流紋岩らしい。花崗岩と異なり火口近くで急冷された流紋岩は風化しにくいと聞くけれど、ボロボロと割れた小石が岩盤の上を覆っていて気が抜けない。
どういう意味があるのか判らないけれど、道端にはケルンのような石積みが100mおきくらいに見られる。簡単に崩れ落ちそうなものだけに、誤って蹴とばしてしまわないように気を遣ってしまう。
後山の山頂。千種川の向こうは尼子義久にゆかりがあると言われる尼子山だろうか。さらにその先に見えるは家島諸島のようだ。赤穂側から見れば雄鷹台山の後ろの山という安直なネーミングだけれど、後山は雄鷹台山(253m)をわずか2m低いだけだ。
他の山でも見かけたけれど、雄鷹台山付近ではこの種のキノコが多数見られる。Google レンズによれば、どうやらタマシロオニタケというもののようだ。いかにも気味の悪い名前だが、テングダケの仲間の相当ヤバい毒キノコだという。
これがタマシロオニタケの幼菌だろうか。幼菌というのに、ひどくデカイ。キノコの写真って大きさが判りにくいので、手元にあったクレジットカードを横に置いてみた。高さは15センチくらいありそうだ。
こいつも仲間だろうか。巨大化と変形が進んで魔物性がさらに増している。食虫植物のような気配さえ漂う。近寄ることさえ躊躇われ、恐る恐るクレジットカードを横に置いて撮影する。
アップダウンはあるもんお道は相変わらず良く整備されている。いよいよ赤穂の街が見えてきた。
雄鷹台山の山頂に到着。体力的には全然大丈夫、と言いたいところなんだけど、湿気の高さにはウンザリしてきた。服も汗でグショグショになってしまっている。頂上には風が良く通るのだけれど、ちょっとやそっとで乾くものではない…。
不思議なことに頂上には鉄棒がある。海や町を見下ろすこの場所で逆上がりなどすれば面白いということなのだろうか。大車輪ができるのならば、眼の前の景色が海・山・町・空とグルグルと変わるのを楽しめるのかもしれない。
赤穂の街に向かってドウダンツツジに囲まれた尾根道を下っていく。春には白い小さな花、秋には紅葉と年に2回見頃が訪れる花だ。
岩が露出した雄鷹台山の南稜の登山道に沿っていくつもの石仏が安置されている。どうやら八十八ヶ所のミニ遍路のようになっているようだ。
最後は市街地に向かって直滑降のように下りていく階段が続く。赤穂側から登るならこの長い階段登りからスタートすることになる。坂越側から登って良かった。
播州赤穂駅でゴール。駅前には「忠臣蔵を大河ドラマへ」の大きな垂れ幕がある。もう何度も大河ドラマ化されているはずだけど、なにせキングオブ時代劇とも言える忠臣蔵だから定期的に登場するのかもしれない。
「赤穂まちあるき」のスタンプラリーもコンプリート。といっても何のご褒美も無い…。GPS信号で自動的にスタンプゲットできる仕組みは先進的ではあるけれど何だか味気なく、達成感もあまり無い。
珍しくYAMAPのGPS信号も一時飛んでしまったようだ。赤穂まちあるきの案内では16㎞とあったけれど実際は6㎞くらい。大した距離ではないけれど湿気に参ってしまった。予定していた赤穂城近辺の散策は見送り早々に帰路につく。