六甲アイランド グリーンベルト周回

2020年7月30日


六甲ライナーの終着駅、人工島・六甲アイランドのマリンパーク駅にやってきた。空模様が怪しいが、六甲アイランドの中心にある商業・住宅エリアと、周辺部の工場・倉庫エリアとの間に緩衝帯として敷設されているグリーンベルトを一周してみよう。



理想的な21世紀型都市実現を目指した六甲アイランド計画には大いに驚かされたものだ。バブル崩壊と震災で人口は伸び悩んでいるけれど、車両通行量を極小化させる道路や、異質なゾーンを調和させる丘陵状の緑地などのインフラには感心させられるところが多い。




マリンパーク駅からまず人工島の南端の海岸にやってきた。蒸し暑いが、空は晴れて波も穏やかだ。六甲アイランド沖合では廃棄物処理のための新たな埋立が続いているのが見える。六甲アイランドやポートアイランドに空地が未だ多いだけに賛否両論あるところだ。



神戸シーバスの建物が残っている。かつてポートアイランドとの間を繋ぐ連絡船が運航していたが、阪神大震災で大きな被害を受けて閉業してしまった。もう連絡船の桟橋の跡形も残っていないようだ。



六甲アイランド開業当初は、南海岸エリアに巨大プールなどの集客施設で賑わっていたのだけど震災で閉業に追い込まれた。跡地は大学や駐車場になり、今では静かに釣り糸を垂れる人や散歩する人がチラホラと見られる静かな場所になっている。



さあ、いよいよ一周5.2㎞と言われるグリーンベルトを時計回り方向に歩いてみよう。未舗装とは聞いていたけど、この辺りはアンツーカーになっている。緑は豊かだけれど、林立する巨大クレーンの目隠しとするのは難しい。



野鳥観察のための施設がある。港湾施設のすぐ傍だというのに、木塀に設けられたのぞき窓の向こうにある池に多種の野鳥が棲息しているようだ。



バードウォッチングのための施設よりも、気になるのは、鳥の姿をしたトイレ。実用性を無視できないため、この種の建物は得てして縦横高さのバランスがおかしなことになりがちなんだけど、このトイレは実によくデザインされている。



道路幅はとても広い。かなりの数の人たちがジョギングしたりウォーキングしたりしたとしても問題は全く生じそうにないほどのキャパシティがある。



別名シティヒルとも呼ばれているこのグリーンベルトは、住宅エリアと工場倉庫エリアよりも一段高くなっているためアップダウンなしでそのまま横断歩道へと道は続いていく。一周5.2㎞の間、ただの一つの信号も横断歩道も無い。



六甲ライナーの車庫が見える。たかだか5㎞弱の単純往復をしているだけの路線だけれど、随分と大きな車庫が必要となるものだ。



アンツーカーの路面は、いつの間にか土へと変わっている。もっともデコボコや石ころなども無く、快適に走ったり歩いたりできる道であることには変わりない。



緑地道路の外側に垣間見えるのは、殺風景な倉庫・物流施設だ。多くの車両が行き来しているはずだけど、緑地道路を歩いている限り、車の存在はほとんど気にならない。というよりも、周囲で車が走り回っていることなど完全に忘れてしまっている。



六甲アイランドの北端にやってきた。アイランド北口駅を出た六甲ライナーが魚崎方面へと向かう。六甲アイランドの最大の心配点は、陸側との連絡道路や鉄道がごく限られているので、有事の際には陸の孤島になってしまいそうなところだろう。



六甲アイランドの東側へと進んでいく。広い遊歩道にも飽きてきたと思い始めたところ、ちょっとした里山歩きの雰囲気を楽しめるような脇道も用意されていることに気づく。



里山歩き風のウォーキングを楽しんでいたところ、俄かに空が暗くなってきた。雨雲が近づいているようだ。



雨が降り出したものの、最寄の六甲ライナーの駅までは数百mほど。傘は無いけれど、いざとなれば大急ぎで駅舎に向かえばいいし、その途中雨宿りできるビルもいくつもある…、と呑気にウォーキングを続ける。



が、暫くすると、どうしようも無い程の大雨になってきた。慌てて歩道橋の下に潜りこんで雨を避けるが、雷鳴も凄まじく一歩も動けないほどのゲリラ豪雨に立ち往生してしまう。



雨雲レーダーを見ると、豪雨を示す真っ赤な雨雲が神戸に掛かっている。結局30分ほど歩道橋の下に閉じ込められる羽目になった。



ようやく雨もあがり再出発。先ほどまで快適に歩いていた遊歩道が川のようになっている。



グリーンベルトを一周して、島の南端に戻ってきた。水位がとても高く、海側から波しぶきを避けるため、お客さんがたくさん座って海を眺めているお洒落なカフェのすぐ横を、ずぶ濡れの恰好でヨロヨロ歩いていく。



フェンスの上に留まったまま、海鳥がバタバタと羽ばたいている。どうやら彼らも相当濡れてしまったのだろう。翼を忙しなく羽ばたかせて乾かせているように見える。



もともとの計画では六甲アイランドの緑地を一周した後、六甲ライナーに沿って、橋を渡って終点の住吉まで歩くつもりだったけど、北側の空はまだ真っ暗だ。今日はこの辺でやめておこう。



暑さで汗ビッショリになることを想定して持ってきた服に着替え、六甲ライナーに乗って帰路につく。内陸にわたる橋を過ぎたあたりで、再び豪雨と雷鳴に襲われる。



本日の歩行軌跡。たったの6㎞…。