千苅ダム~大岩岳~丸山湿原(神戸市北区)

2020年7月2日


JR福知山線道場駅から約2㎞、千苅貯水場の奥にある大岩岳に登ってみよう。さらに天然記念物に指定されている丸山湿原も歩いてみたい。以前から気になっているコースなのだけど、先達ハイカーのブログなどしか情報が無く難易度がよく判らままスタートする。



水道局の千苅貯水場と書かれた門扉の脇を抜け、遊歩道を羽束川を遡っていく。千苅ダムから放流された水が武庫川に向けて勢いよく流れていく。



千苅ダム。築101年とは思えない頑強な造りだ。17門のゲートから噴出される水流は力強く、そして美しく、見飽きることが無い。神戸市内では最大のダムだそうだ。



スタートして間もないのに登山口がはっきりしない…。まさかと思ったけれど、フェンスの横の急斜面を攀じ登っていくのが正解らしい。トレースはあるが、ロープも無く、しかも落葉で滑りやすい。フェンスにしがみつきながらなんとか急登をクリアする。



急坂をクリアすると、渓流の渡渉が待ち構えている。登山開始早々から難所ばかりで、これは初心者には厳しすぎる山かもしれない、と不安になってくる。もっとも引き返して、フェンス沿いの急坂を下りる気にもならない。



YAMAPのマップによれば千苅ダムから大岩岳への道は2本あるが、あえて標準所要時間の長い千苅ダム湖沿いの道を進む。距離が長い分だけ勾配も緩やかなはずと考えてのことだが、道幅が狭いトラバースを進む羽目になる。滑落経験者には苦手な道が続く。



トラバースの次はえぐれた溝のような道を進む。問題は溝の深さではなく、溝の幅だ。体がピッタリと嵌まり込んでしまいそうな狭さだ。



色々な道に四苦八苦しながら(それでもひどく楽しかったのだけど)、ようやく大岩岳の山容が確認できるところまでやってきた。大岩という割にはあまり岩山っぽくないなぁ…と、この時は思っていた。



が、山頂に近づくにつれて大岩が現れる。この山には初心者ハイカーを補助するロープや階段といったものが一切設置されていないのだ。岩山に食らいつき、攀じ登っていくしかない。



ようやく大岩岳の山頂にやってきた。標高は384mしかないけれど、バラエティに富んだ登山道の連続で、とても愉快で充実した山歩きだった。



山頂からの眺望も素晴らしい。千苅ダム湖が眼下に広がる。この山頂は、神戸、宝塚、三田の三市の境界点になる。



大岩岳から下山し、丸山湿原を目指す。もともとは東にある東大岩岳を経由する道を考えていたのだけれど、マップの等高線間隔が狭く、比較的緩やかそうな南に下る道を選んだけどそれでも十分に急坂だ。



山を半ば下ったところにある標識に、丸山湿原方面が「倒木多し、通行注意」と書かれている。嫌な予感がするけれど進むしかない。



が、進んでいくとさほどの難路でもない。おそらく標識が立てられた頃には多くあった倒木が月日が経って朽ち果ててしまったのだろう。



湿原に進むに従って、心なしかジュクジュクと湿った地面が増えてきた。縦置きに置かれた長い丸太の上を進んでいく。



丸山湿地帯にやってきた。湿地を守るために整備された木道の上を進む。周囲の山々から流れ込んだ土砂で谷合が湿地化したものらしい。



広い湿地帯を取り囲むように遊歩道が設置されている。遊歩道には白いロープが張られ、湿地帯への立ち入りを阻んでいる。



湿地帯に突き出した「視点場」と呼ばれる設備も設置されている。湿地に棲息する希少な動植物を観察するためのもののようだ。



湿地帯では希少動植物は確認できなかったけれど、遊歩道で赤くて丸いキノコを発見。もしや噂の毒キノコ、ベニテングダケでは?と思ったけれど、どうやらタマゴダケのようだ。いやいやタマゴダケでも十分珍しいはずだ。初めて実物を見た。



丸山湿原から羽束川方面に戻っていく。相変わらず渓流の渡渉が多い。あまり登山者(初心者)に対するケアをしていない山だけに、たまに木橋があると粗末なものであっても嬉しくなってしまう。



風吹岩といえば芦屋から六甲山への登山路にあるものが有名だけど、ここにも別の風吹岩がある。何かの動物のようにも見える形だが、風化が進む花崗岩でボロボロと崩れてしまいそうだ。



風吹岩から先、風化した花崗岩帯が続く。大きく抉れて地割れのようになっているような道もある。



花崗岩帯を抜けると、次は胸の高さまで生い茂った藪を掻きわけながら進むことになる。全く次から次へと色んな道を用意してくれている。



澄んだ渓流の冷たい水で顔と手を洗い下山完了。登ったところより、かなり下流側に下りてきたけど、おかげでフェンス沿いの急坂を下ることなく無難にスタートポイントに戻ることができた。



本日の歩行軌跡。歩行距離はわずか8㎞ほどでしかなかったけれど、随分と楽しむことができた。