能勢電妙見口駅からスタンプラリーをしながらケーブル黒川駅までやってきた。ここから大堂越ルートで妙見山頂を目指す。ケーブルのような直登ではないものの、結構きびしい登り道のはずだ。
大堂越ルートの前半は渓流に沿った上り坂。何度も渡渉を繰り返して進んでいく。実はこの道を下ったことはあるけれど登るのは初めて。梅雨時のせいか、水量が結構多いように感じる。
黒川の台場クヌギ群落の横を通過する。室町時代からここで菊炭ためのクヌギが伐採されてきたという。高さ 1mほどで幹を伐り、その切り株(台)から新たに生育した幹を約 10 年で再び伐採するという。
渓流に沿った道を歩くのはとても楽しい。坂はきつくとも、蒸し暑くとも、涼やかに歩を進めていくことができる。
渓流沿いの道が途切れ、いよいよ沢歩きのようになる。こうなってくると涼やかに歩くという訳にはいかない。石がゴツゴツとしていて、とても歩きにくい。
さらに肌理の細かい石のため、いかにも滑りやすそうだ。浮石に気を付けながら、慎重に歩を進めていかなければならない。
川の横に炭焼き窯らしきものが見える。今では使われていないようにも思えるけれど、まだ石組みはしっかりしている。
渓流沿いの道が終わると、九十九折の急坂が待ち構えている。覚悟はしていたけれど、結構キツく、汗が噴き出す。
紫陽花は開花時期を終えようとしている。紫陽花の向こうには頂上に向かうリフトが行き来している。
妙見山は日蓮宗の霊場だというが、門前には大きな鳥居が立っている。神仏習合どころか、ここは隠れキリシタンのお寺との伝承まであるのだからややこしい。さらに大阪府と兵庫県との境界が複雑に境内を分割している。
広い境内で、密なエリアではないけれど、境内立入の際にはマスクを装着せよとの貼り紙が見られる。
能勢頼次の像がある。秀吉時代にこの地を治めていた武将だが、この人こそがこの地のキリシタンを日蓮宗に改宗させたと言われる。キリシタンたちの信仰を守るための偽装だったと聞いたことがある。
妙見山は北極星の神様「妙見大菩薩」をお祀りしているのだけど、「星嶺」と名付けられた奇抜とも言えるモダンアートの建物がある。境内で一番目立つこの建物の正体は信徒会館だという。
妙見山頂からの登山口方面への眺望。天気はあまり良くない…。
妙見山本瀧寺の山門。ここにも兵庫県川西市と大阪府能勢町との境であるという表示がある。警察や消防をはじめとする行政サービスもこの境界で分担しているのだろうか。
本瀧寺の本殿。お寺なのだから「本堂」ではないかと思うのだけど、境内案内図には「本殿」と明記されている。星を象った寺紋を染め抜いた幕があるが、この紋が十字架を変形させたものだという説があるようだ。
ほとんどの人は気にも留めないけれど、砲弾を模したと思われる柱に囲まれた慰霊塔の片隅に頂上を示す三角点がある。標高は660m。
妙見山へのお詣りを終え、上杉尾根コースで下山する。前半は緩やかな尾根道が続く。日差しや眺望もあり、ベンチまで設置されている。
メインの参道だったのだろうか。道には信者・門徒から寄進された石柱が多くみられるのだけど、その多くは倒れ、道の礎のようになっている。
常夜燈の多くも上部が落ちてしまっていて原型を留めていないものが多い。山頂の施設は立派に保全されているのに、山道は廃寺のような状態になっているのが不思議だ。
コースの後半になると、険しい道へと豹変する。勾配もきつくなり、デコボコの多い歩きにくい道が続く。
さらには水流に抉られたような道が続く。どこを歩けばいいのやら…。
今日もたくさんのキノコを発見。長らく山歩きをしていながら今頃になって多種多様なキノコが生えていることに気づき、とても興味深く感じ始めた。もっともキノコというのもは得てして足場の悪いところに生えていて、観察や撮影には慎重さが求められる。
能勢電妙高口駅に無事帰還。自販機で買った水が美味しい。ゴミは持って帰れというのはよく理解できるけれど、ここの自販機周辺には一切ゴミ箱が無い…。
本日の歩行軌跡。歩行距離は約8.5㎞。妙見山への登山ルートはいくつもあるけれど、どれも楽な道ではない。