2020年10月15日
三田市の羽束三山(羽束山、甚五郎山、宰相ヶ岳)を巡る。三山縦走なんてタイトルは山慣れたハイカーに失笑されそうな標高500m級の低山ばかりとはいえ、複数の山を上ったり下りたりするというのは疲れるけれどそれ以上に楽しいものだ。
登山口は香下寺という真言宗のお寺のすぐ横にある。山号はズバリ羽束山だ。
登山口の横には、お助け杖が多数用意されている。登山口から見える限りは、急坂には見えないのだけど…。
なだらかな道は登山口付近だけで、その後、石段が延々と続く。自然石で作られた階段は段差もマチマチでリズムよく歩けない。地味に体力が奪われていく。
眺望もなく、九十九折になった石段をひたすら登っていく。頂上までの距離を示していると思われる丁石が良い励みになる。
六丁の丁石がある六丁峠。お地蔵様が立っておられるが、ここが甚五郎山に向かう道との分岐点になる。羽束山は後回しにして、まずは甚五郎山を制覇しにいこう。
甚五郎山へは、それまでの石段とは打って変わって、ちょっと判りにくい林の中の道を進んでいくことになる。
甚五郎山の山頂に到着。登山口から20分ほどで第一峰を制覇したことになるが、眺望も無く、山頂に立っているという実感が得られない。
再び六丁峠に戻り、羽束山の山頂を目指す。道は引き続き石段ばかり。わずかに一部、トラバース部分に木の桟道があったくらいだ。
変化がなく眺望も開けない道を歩き、甚五郎山から20分ほどで頂上部にやってきた。山頂碑が見当たらないが標高は524mのはずだ。見まわしたところ羽束神社の本殿の奥の小山が一番高そうなので、無理やり登ってみたけれど、結局山頂碑は見つからず仕舞いだった。
しかし山頂部からの眺望は抜群。有馬富士もよく見える。約40分ほどで、早くも羽束三山のうちの二峰を制覇したことに満足し、しばらくボーっと三田の山々を眺める。
羽束神社の裏手には、鐘楼がある。神社に鐘楼?と訝しく思ったけれど、よく見ると香下寺の鐘のようだ。ひょっとしたらこの山全体が香下寺の寺域だったのかもしれない。
観音堂のすぐ脇に、羽束三山の第三峰、宰相ヶ岳に向かう道がひっそりと隠れている。小さな標識を見つけることができなければ、とても踏み込めないような細くて暗い道だ。
落葉がうずだかく積もった山道は、倒木も多く、随分と荒れている。羽束山までの道が石段で整備され、案内標識も充実していたのと比べると大違いだ。ちょっと不安なことに、この道はYAMAPのマップに掲載されていない。
他の方のブログなどに、羽束三山を周回したという登山記録はいくつも見つけることができるので、道は繋がっているはずなんだけど、ロープを頼りに岩場の急坂を下りて行くなどの難所に差し掛かる度に不安になってくる。
羽束山から随分と下りて、宰相ヶ岳との鞍部にやってきた。ここで初めて案内標識に出逢い、道が誤っていないことを確信する。
鞍部からは厳しい登り返しが始まる。林の中を攀じ登っていくが、時折方向を見失いそうになる。どなたが付けてくださったのか、おそらくは山頂への方向を示してくれていると思われる赤いテープを信じて急坂を攀じ登っていく。
標高500.5m宰相ヶ岳の山頂にやってきた。つい先ほど登っていた羽束山が良く見える。お椀をひっくり返したような山だ。それにしても、宰相ヶ岳とは、ひどく立派な山名だけれど、どういう由来なのかが判らない。
宰相ヶ岳の西側には、展望岩と名付けられた岩肌がむき出しになった崖がある。なかなか良い風が吹く。
宰相ヶ岳からの下山道はさらに荒れていて、道も判りにくい。赤テープが頼りだ。急な下り道なので足元に十分注意して進みたいが、厄介なことに、蜘蛛の巣が多いうえに、木の枝が低く伸びているところが多く、何度も蜘蛛の巣に絡まり、枝で頭を打つ羽目になる。
宰相ヶ岳の南斜面からは六甲山系を見渡すことができる。
地図もなく歩いてきたのに珍しく道間違いが無いままに麓の近くまで下りてきたが、最後の最後で道が判らなくなり、下に見える香下寺の墓地に向かって藪を掻き分けながら道無き道を下っていくことになる。
無事羽束三山の全制覇ができたけど、歩行距離はわずかに3㎞ほど。所要時間も2時間余り。軽めの登山だったけど、道に変化があってなかなか楽しかった。