再度山(神戸元町~鈴蘭台)【六甲山系】

 2020年10月5日


六甲山系の地図を見ていて、ふと再度山に登ったことがないことに気づく。再度公園、再度越、再度谷…、など、再度山周辺は度々歩いているんだけど…。そもそもYAMAPなどの登山マップでも再度山頂に登る道はハイキングコースとして記載されていない。



今日は再度山頂を目指して神戸の中心、元町駅から歩き始める。神戸市内最大の繁華街、三宮や元町までが登山の起点になりうるところが神戸の素晴らしいところだ。



元町駅から北へ、兵庫県庁の横をすり抜けるように緩い坂道を登りながら再度山への登山口になる諏訪山公園を目指す。



今日は大師道と呼ばれるルート。弘法大師が唐留学の成功を願って参詣した、山頂近くにある太龍寺を帰国後お礼のため再訪したことから、この山が再度山と名付けられたという。大師道沿いには太龍寺までの丁石を兼ねた石仏が並んでいる。



道には「早朝はお静かに」の垂れ幕が見えるが、大師道は毎日登山の発祥の地として有名なところ。毎朝大勢の近隣の方々が太龍寺までの道を歩いておられるという。朝の9時頃だというのに、早くも太龍寺まで登ってこられたと思われる方々が何人も下りて来られる。



大師道は、細いながらも舗装道が長く続き、あまり急な坂道もない。毎朝のウォーキングには適当な道だろうけど、登山にはちょっと物足りない道だ。もっとも、先日の竹田城址探索で感じた股関節付近の違和感が未だ続いているだけに、この程度の道が丁度いい。



舗装道から地道になっても、再度谷川に沿った比較的平坦な道が続く。



平坦なだけにマウンテンバイクの初心者にも手頃な道なのだろう。ハイカーとバイカーの軋轢はよく耳にする。さらにランニング、犬連れ、キャンプなど、都会のすぐ傍だけに山の楽しみ方が多種多様なのは結構だけれど、山のモラルは皆で共有する一様なものでありたい。



道の側壁に紅葉の樹がかなり無理なかたちで生えている。まるで植木鉢のようだ。おそらく道路を改修する際、川面にまで枝を伸ばす立派な紅葉の紅葉の樹を何とかして残してもらいたいという願いを叶えるべく、知恵を絞って工夫したものだろう。



大師道の中間点、猩々池まで登ってきた。かつて山麓の村落(今では神戸の大都会の一部だけど)のために造られた溜め池だ。もともとはもっと広い池だったらしいが、次第に土砂が流入して狭くなってきているらしい。



猩々池を越え、善助小屋に向かう道あたりで、ようやく山道っぽい雰囲気になってくるが、既に太龍寺にかなり近づいている。



善助茶屋跡に建つ「毎日登山発祥の地」の石碑。ここへの登山を始めたのは、神戸居留外国人だという。善助茶屋という古風な名前だけれど、もとは外国人の社交場のようなところで、紅茶やケーキなどが振舞われていたと聞く。



太龍寺の山門には、毎日登山1万回達成者の名前が彫られた石碑があって100人以上の名前が記されている。諏訪山公園からここまで、さっさと歩いても1時間弱は掛かるだろう。それに1万回って、毎日登っても30年掛かる。超人的な記録にしか思えない。



長い階段を上って太龍寺の本堂までやってきた。ここまで来たのは随分と久しぶりのことだ。この裏手から再度山に登れるようなんだけど、登山口の案内が無い。不信心な者の入山を拒んでいるかのようにも感じるのだけど、気のせいだろうか…。



奥の院の先から山頂に繋がっているはずと考え、登り始めたけれど、思っていた以上に道は険しく、岩を攀じ登るようなところも何か所かある。でも途中に天狗岩(写真)とか亀石とかがあって、見どころは結構ある。



再度山の山頂に登ってきた。標高は470mと高くはないけれど、晴れた日ならば神戸の町や港ばかりか淡路島や大阪の高層ビルまで見渡すことができそうだ。それにとても良い風が吹いている。どうしてここをハイキングルートから外すのかなぁ…。



再度山から再度公園に下りる道は、さほど険しくも無いが、下山口でも山頂へ案内する標識類は見当たらなかった。再度公園のシンボル、修法ヶ原池(しおがはらいけ)から、再度山の山頂に向かって、もし聖地を侵してしまっていたなら申し訳ないと念じつつ再拝する。



外国人墓地にもちょっと立ち寄ってみる。これまで近寄ることさえ憚られて遠目に眺めていただけだったけど、誰でも気軽に立ち入れる展望台があることを知る。しかし墓石などは鬱蒼と茂った樹木の隙間から垣間見える程度で、広い墓地を見渡せるような所ではなかった。



これまで歩いたことがない仙人谷という、ちょっと気になる名前が付いた道を歩いて神戸電鉄鈴蘭台駅に向かう。仙人くらいしか歩かないような草深い山道を想像していたけれど、よく整備されて歩きやすい道だ。



しかも紅葉や梅の木が多く、初春や晩秋には花見や紅葉狩りを兼ねたハイキングが楽しめそうなところだ。



仙人谷の奥にある洞川湖。車道から近いのか、釣りを楽しむ人が多く見られる。神秘的な名前を持つ美しい湖だというのに、不法投棄のゴミが目につくのが腹立たしい…。



洞川湖のあたりで、嫌な予感がしていたのだけれど、自動車道に出てしまった。マップでは登山路になっているんだけど…。どうやらこの道で鈴蘭台駅まで行くしかなさそうだ。



不思議な背の高い構築物が現れた。この下を通っている神戸トンネルの換気塔らしい。さらにガスホルダーや変電所などが次々と現れる。まだまだ山の中だと思っていたけれど、洞川湖のすぐ近くまで市街地化が進んでいるようだ。



一般道をテクテクと歩いて、予定通り鈴蘭台駅までやってきた。立派な駅舎に見えるけど、1~2階は銀行や店舗などのテナント、3階が駅、4階が区役所というスーパー複合ビルだ。



本日の歩行ルート。計11㎞くらいだが、うち5㎞近くは、元町や鈴蘭台付近の平坦な道を歩いていたと思う。痛めた股関節もこれくらいの緩いハイキングなら全然大丈夫そうだ。