千ヶ峰(神河町)

 2020年10月8日


東播磨の最高峰、千ヶ峰に登ることにチャレンジする。神河町からのルートはそれほど厳しいものではないとは聞いているけれど、久しぶりの1000m超の山に緊張感が高まる。



神河町の北東の端っこ、清流で名高い越智川の山深い渓谷にある新田ふるさと村というキャンプ場からスタート。手元の高度計では既に標高400mを超えている。



500mほど歩くと、千ヶ峰登山口(水谷コース)が現れる。「ゆっくり歩いて約2時間」とあるが、最近の脚力では15分くらい、いや30分くらいは時間が掛かることを覚悟しておかなければならないだろう。



美しく植林された檜や杉に囲まれた舗装された林道が続く。標高1000m超の山に登るというのに、いつまでも平坦な舗装道が続くことに少々苛立ってしまう。



登山口から20分、東西コースの分岐点が現れた。東西両コースで周回するつもりだが、引き続き舗装道が続く東コースに向かうのも鬱陶しく、それに距離が短めの西コースの方が急坂が多そうに思えた(後で間違いと知る)ので、まずは西コースへ進むことにする。



地道にはなったけれど、なんだか小学校の遠足コースのような幅広な道が続く。高度はいつまでも400~500mのままで、一向に急坂の気配がしない…。



ミツマタの木が群生している。春には薄黄色の花で一帯が染め上げられてしまうのだろう。兵庫県内ではミツマタの群生地がアチコチにあるとは聞くが、未だに開花しているところを見たことがない。



歩いていると、さすがに少しずつ登りになってはきたけれど、それでも幅広の歩きやすい道だ。ブログ用に撮影する写真は、どうしても難所や急坂を採用したくなるのだけれど、まるで厳しいところが無い。林業のために軽トラや重機が入れるようになっているのだろうか。



もっとも地味な登り道が続き、少しずつ標高をあげてきた。緑の山が美しく連なっている。足元に目を転じれば深い谷が口を開けている。



時には簡易舗装された道まで現れて、これで頂上に向かっているのか、とさえ思える楽な道が続いてきたが、さすがに終盤になると多少は勾配も急になって道も狭くなる。山頂手前で東ルートに合流して、ススキを掻き分けるようにして丸太階段を登っていく。



標高1005mの千ヶ峰に無事到着。普段どおりにマイペースで歩いてきたけれど、1時間50分で到着した。標準タイムで山に登ったことなど最近では記憶にない。タイムなど気にしないで純粋に山歩きを楽しむようにしてきたけれど、ちょっと嬉しいし自信にもなる。



千ヶ峰は神河町と多紀町の境界に聳える山。狭隘な谷合に沿って細長く伸びている多紀町の街並みが見渡せる。



中国山地の東端を構成する山々が並んでいる。千ヶ峰の南側にあるちょっと尖がった山が笠形山だ。笠形山から千ヶ峰を繋ぐ縦走ルートがあるのでけれど、かなりの難コースのようだ。縦走は到底無理だけれど、笠形山には近いうちに登ってみたい。



頂上で美しい眺望と爽やかな風を満喫した後、水谷東ルートで下山していく。後ろを振り返れば千ヶ峰の頂上部が見送ってくれているようだ。



樹林帯のなかの登山道が続く。広い道ばかりが続き味気の無かった西コースに比べれば、東コースの方が遥かに楽しそうだ。



登山道沿いに不思議な形の建物が立っている。展望台にしては低いし、動物観察小屋にしては隙間だらけだ。小さなベンチがあるところを見れば休憩用の東屋としか思えない。樹木の伐採を避けて、登山路も狭めないためだろうか。随分と省スペースの東屋だ。



楽しいハイキング道路と思っていたら、市原峠から様相は一変して杉林の中の急坂を真っすぐに下りていく。しばらくは暗い杉林のなかの悪路に苦戦することになる。もし東コースで登っていたなら、西コースよりかなり多めに時間が掛かったことは間違いない。



草を掻き分け杉林の急坂を下りたところにある標識。これが間違っていたんじゃなかろうか。標識に従って新田ふるさと村方面にテクテクと歩いて行ったが、1㎞近くも歩いてどうもおかしいと気づいて戻ることになる。さらにその後、2度めの道間違いをしてしまう。



東コースでは道間違いで予定以上に歩く羽目になったけど、覚悟していたほどの疲れはない。下山口からほど近い「不動の滝」を見に行くことにしよう。案内板にある「遊泳場」というのも気になるぞ。



どうやらこれが遊泳場らしい。名水、清水で名高い越智川だけに、どこでだって気持ち良く泳げそうな気がするけれど、川幅とか水深とか、遊泳に適当なところと不適当なところがあるのだろう。



遊泳場見学の後、不動の滝を目指す。実は2つの滝を合わせて不動の滝と呼んでいるらしい。麓に近いところにあるのが落差43mの雌滝。水ヶ野の滝とも呼ばれているようだ。



雌滝から雄滝(千壇ノ滝)までの道が大変な難路。もう引き返そうかと何度も思わされた。岩盤に据え付けられた長くて急な、そして何となく不安定な階段を延々と登らされる。千ヶ峰登山より遥かにキツいぞ。



さらに何度も渡渉や沢歩きをしなければならない。沢の石は滑りやすいうえに、道も判りにくい。千ヶ峰登山などより遥かに危ないぞ。



ヘトヘトになって、ようやく雄滝に到着。黒光りの岩盤に落差53mの滝が流れている。ところが、水量が少ないせいか、黒光りの岩盤の反射のせいなのか、うまく写真に収めることができない…。せっかくここまで登ってきたのに…。



水谷西コースで登った時には「千ヶ峰はチョロい」なんて思っていたものの、不動の滝で随分なエネルギーを奪われてしまった。更に2度も道間違い(歩行軌跡図の!マーク地点)をしてしまうなどで残存体力ほぼ皆無の状況で新田ふるさと村に戻る。歩行距離は約10㎞。