段ヶ峰(朝来市)

 2020年10月18日


標高1100mの段ヶ峰に挑む。やまクエによれば難易度LV39だ。今春登ったLV40の多紀連山三嶽で限界に近いものを感じただけに、個人的にはかなりチャレンジングな登山になる。ヒル除けスプレーやらクマ鈴やら、装備を万全にしてスタートだ。



登山口は生野高原登山口。とにかく段ヶ峰の厄介なところは、いきなり急坂が続くということ。序盤で体力消耗しないように、ゆっくりと歩いていこう。



登山道は良く整備されていて迷うこともない。急坂のうえ、昨日の雨で道がぬかるんでいるが、自分のペースでゆっくり歩いていく。幸い後続のハイカーも見えないので、急かされることもない。



覚悟していたほどの斜度ではないのだけれど、とにかく登りばかりが続く。ちょっとひと息つけるような平坦なところが一切ないのだ。



達磨の肩(標札が擦れてほとんど読めない…)と呼ばれる達磨ヶ峰の肩部までやってきると眺望が開け、急に明るいところに出たような気になる。厳しい登りもこの辺りで一段落のはずだ。



さらに登って標高912mの達磨ヶ峰にやってきた。ここまで50分で登ってきたのは上出来だ。YAMAPの標準時間を15分も短縮してるぞ。朝の7時50分、達磨ヶ峰の北方の山々は雲海に覆われている。竹田城址もこの方向にあるはずだ。



とはいえ、さすがにダメージは大きい。1Rで何発もパンチを喰らったボクサーのような状態だけど、残り14R 戦えるだろうか。達磨ヶ峰までやってくると、段ヶ峰の山頂が前方に現れる。まだまだ遠いけど、ここからは尾根歩き中心の比較的楽な道になるはずだ。



ところが思わぬ難敵が行く手を遮る。鬱蒼と茂ったススキだ。高さは2mほどもあり、進むべき道を隠している。ススキを掻き分けながら、足元を確認しながらゆっくりと前進していく。前方に段ヶ峰の頂上が見えるので、大きく道を間違えることはないはずだ。



と思っていたら、しっかりと道を間違ってしまった。ピンクのリボンに導かれて、沢を下る道にやってきた。さすがにおかしいと気づき、YAMAPを確認するとルートを90度外れた方向に進んできたようだ。正しいルートが完全にススキで覆われていたのだ。



眺望が開けた稜線を進むと思っていたのだけれど、意外にも樹林帯のなかを登ったり下りたりが続く。大したアップダウンではないのだけれど、序盤の疲れのせいか、思うほど足が前に出ない。



下りのぬかるんだ道で、見事に滑って転んでしまった。ここまで写真を撮るとき以外はほとんど立ち止まることもなく歩いてきたのだから、気づかぬうちに疲れがかなり溜まっているようだ。最低コルと呼ばれる鞍部で、水を飲んで休憩する。



気を取り直して、杉の根っこが階段のようになった林の中を登っていく。最低コルが標高880mなので、まだ200m以上も登らなければならない。なかなかノンビリとした高原歩きができるとことに到達しない。



林を抜け、藪を抜けて、ようやく高原のようなところに出てきた。樹木類はほとんどなく、なだらかな道が続く。



未だ9時を過ぎたばかりというのに、まだ雲海が広がっている。とても幻想的だ。



草原を一本の道が貫いている。これが段ヶ峰登山の魅力だ。厳しい道が続いたけれど、まさに雲外蒼天、苦しい道のりの後には素晴らしい光景が広がる。



段ヶ峰の前峰、標高1082mのフトウガ峰の山頂までやってきた。山とはいうが、頂はなだらかな高原のようだ。



段ヶ峰山頂まで、尾根伝いの緩やかな登りの道を進む。ゴールが間近に迫ってくると不思議なことに疲れも忘れて足は軽やかに動く。



ついに段ヶ峰制覇。標高1106mの山頂からは兵庫県最高峰の氷ノ山をはじめ、但馬地方の山々まで遠く見渡すことができる。



歩いてきた稜線を振り返る。よく歩いてきたものだ。道間違いもしたけれど、登山口から標準時間どおりの3時間で登ることができた。気温など、条件にも恵まれたとはいえ、大いに自信になる。次はLV47の雪彦山に挑戦してみようかと思う。



往路でぬかるんだ下り坂で転倒したこともあって、復路は遠回りになっても急坂が少なそうな林道経由で生野高原登山口に戻ることにする。高原の松林のなかを千町峠まで下りて行く。



千町峠まで下りてくると、想像以上に立派な林道が待ち構えていた。もっとも自動車も歩行者も通らない…。



舗装道は長くは続かず、その後は砂利道や簡易舗装などの道が続く。不思議と喉も渇かないし、お腹も減らない。コンビニおにぎりを3つ、水分は2リットルといつものことながら、十分過ぎると思われる飲食料を担いできたが、ここに至って重いリュックが恨めしい。



山側、谷側、いずれの斜面も険しい。おそらくこの林道は、岩が多い山裾を無理やり掘削して作り上げたものだろう。山側には削られた岩が続き、路面には岩の破片が散らばり歩きにくい。



悪くは無い道なんだけど、延々と続く林道にさすがにうんざりしてきた。目を惹くものといえば時折現れる山側からの急斜面を流れ落ちる滝くらいだ。滝に沿っての道もあるようだけど、へなちょこハイカーにはとても歩けるものとは思えない。



最後は別荘地やゴルフ場を通過して、ようやく退屈な林道歩きを終えて起点に戻ってきた。往路(6㎞)が3時間、復路(10㎞)も3時間。下りだというのに、復路のローペースぶりが半端ない。やはりLV39は楽じゃぁ無い…。