2020年10月30日 ②
シワガラの滝を訪問した帰路、香美町の猿尾滝にも立ち寄る。全国の滝百選のひとつにも数えられる名滝だ。
滝は国道9号線からすぐ近くとアクセスも良く、多くの観光客が立ちよるようだ。明るく開けたエントランスには歓迎の横断幕が掲げられ、駐車場や自販機、トイレなども整備されている。シワガラの滝とは対照的な立地だ。
顔出しパネルまである。殿様がサルに素麺を食べさせているという不可思議な絵柄だ。猿尾滝という名前(滝の形が猿の尾に似ている)と、かつてこの地を治めていた村岡藩主がこの滝で流し素麺を楽しんだという故事に由来した絵のようだ。
入口から歩いてすぐ、滝が見える渓流まで来ることができる。シワガラの滝の後では、なんともあっけない滝とのご対面だ。
猿尾滝は上下2段になっている。落差21mの下段の滝が猿の尾に似ているという。上段の滝は39mの高さだ。
滝壺近くの河原には、石積みがアチコチに見られる。賽の河原のようだ。何かの信仰によるものなのか、単なる遊びなのかは判らないが、誤って崩してしまえば何か良からぬことが起きそうだ。滝を楽しむにはちょっと迷惑な存在だ。
上段の滝を間近で見るべく階段を登ってきた。黒光りする岩肌全体を水が流れ落ちている。
上段から下段へと水が流れ落ちる様を恐る恐る思いっきり手を伸ばして撮影してみた。恐ろしいほどの急流だ。
上流の滝の岩肌には仏像などが見え隠れするという。どうやらこれは観音様らしいが、信心不足だろうか、どうもピンと来ない…。仏様やマリア様などもおられるらしいが、確認することはできなかった。
滝の右の大岩は岩猿と命名されているらしい。サルというよりゴリラ感が強い。
上流から下流に向かって水は猛スピードで流れている。今日の流速では流し素麺など到底無理だ。村岡藩主は室町時代には日本の六分の一となる11州を領有した山名氏の末裔だ。領地は往時の百分の一にも満たないが、それなりに細やかな楽しみを見つけていたのだろう。
シワガラの滝、猿尾滝の見物を終えたが、さらに天滝にも立ち寄ってみよう。(③に続く)