川代恐竜街道(丹波篠山市&丹波市)

2020年8月10日


丹波篠山市から丹波市にかけての渓谷に整備されたという「川代恐竜街道」に出かける。丹波竜と呼ばれる恐竜の化石発見を機にした観光施策だろうか。恐竜に大した興味はないけれど恐竜街道という名前には訳も分からず惹かれてしまう。もう行ってみるしかない。



JR福知山線の丹波大山駅で下車。丹波篠山市の中心部の西にある静かな駅だ。兵庫県の丹波土木事務所の地図によれば、この駅前が川代恐竜街道の起点となっている。猛暑のなかを全長18㎞という恐竜街道を歩きとおすことは難しいが、半分くらいは歩いてみたい。



丹波大山駅から歩いてすぐのところに「兵庫県立丹波並木道中央公園」というのがある。70ヘクタールもある広大な公園だ。入り口近くは、中央部に広々とした芝生、その横に並木道があるという感じの構成になっていて、どことなくゴルフコースにも似ている。



この公園のなかに「太古の生きもの館」がある。この地域ではアチコチで恐竜の化石が発見されているらしいが、この博物館のすぐ横の斜面でも発見されているらしい。



公園を出て篠山川沿いに進む。福知山方面に流れているけど加古川水系だ。橋の欄干には鉄琴が何十枚も設置されていて、順に叩いていくとデカンショ節などが奏でられるはずなんだけれどマレットが無い。盗まれたのではなく誰かが誤って川に落としたと思いたい。



恐竜街道整備のきっかけは、県道77号線のトンネルが完成したため川沿いの旧道が不要になったことのようだ。新トンネルは歩行者・自転車は通行不可となっていて、その代わり旧道は車両通行止めになっている。



新トンネルの入口には恐竜のパネルが貼られている。ここに描かれているのは2006年に化石が発見され大騒ぎになり、その後丹波竜と名付けられた龍脚類ではないが、その後続々と化石が発見された様々な恐竜のうちの一種なのだろう。




「篠山市脊椎動物化石保護条例」なるものがあるようだ。要するに勝手にこの辺りで発掘や土石採取をしてはならないということだ。同様の標札は丹波市にもあったけど、そちらは「恐竜化石保護条例」という判りやすいネーミングだった。



トンネル入口からしばらく歩くと「一般車両通行禁止」の標識が建てられている。ここからは自転車と歩行者のみが通行可能だ。自動車にとっては道幅は狭く運転しにくい道であっただろうけれど、歩行者&自転車道路としては十分すぎるスペックだ。



当然道は完全舗装されている。車両通行止めとなった今ではおそらく必要性はほぼ無いだろうけど、ミラーやガードレールもしっかりと完備されている。



篠山川に沿った道は景色はいいし、渓谷を吹き抜ける風も心地よい。他に誰もいないのに、自動車も走る道の雰囲気なので、ついつい端っこを歩いてしまう。川に向かって道端にいくつかベンチが設置されているところを除けば、ごく普通の道の雰囲気だ。



この道の景色は素晴らしい。道のすぐ横は篠山川の深い渓谷だ。歩きやすい舗装道から自動車も気にせずこのような美しい景色を楽しみながら歩ける道はそうそう無いのではないだろうか。恐竜の化石が無くとも、この道は歩く値打ちがある。



絶景の連続。何枚も写真を撮る。いつまでも渓流を眺めていたくなる。今歩いている道も、福知山線も、この渓谷の景色を最大限残しながら、大変な難工事で建設されたことが判る。



渓谷沿いの旧道もトンネル出口で再び県道に合流。しばらく歩くと丹波市に入る。数年前にいくつかの町が合併して誕生した市の名前に他の旧丹波国の自治体が猛反発したことは記憶に新しい。篠山市は丹波の中心は篠山だとばかりに丹波篠山市に改名してしまった。



県道も篠山川沿いの道なんだけれど、歩道も整備されていない。恐竜街道として今後の整備を続けるのかもしれないけれど、自転車や歩行者がのんびりと丹波の美しい山々や渓谷の景色を楽しめる道に仕上げてもらいたいものだ。



川代公園にやってきた。渓流に沿って水遊びやキャンプなどが楽しめる公園だ。篠山川には立派な吊り橋も架かっている。



吊り橋を見ると渡りたくて仕方なくなる。微妙な揺れを楽しみながら渓流遊びをする子供たちを見下ろす。流れは結構早く、楽しそうだけれど、その分注意も必要だ。



川代公園から歩いてすぐのところにある丹波竜の里公園。いきなり丹波竜が出迎えてくれる。これが実物大なのだろうか。とんでもなくデカイ。「タンバティタニス・アミキティアエ」というのが正式名称らしいが、恐竜の名前など、トンと覚えられない…。



チッチャイのもいる。これくらいのサイズの方がリアリティがあって噛みついてきそうだ。これもきっとこの地区で発掘された恐竜の実寸大復元模型なのだろう。



公園の片隅では化石発掘調査体験のコーナーがある。参加費300円にも関わらず、大勢の人が参加している。貼紙を見ると、なんとこれまで7000以上の化石がこの体験コーナーで確認されているらしい。子供だましの模擬体験ではないようだ。



丹波竜の里公園を出て、少しずつ頭を垂れだしている稲穂のなかを貫く農道を進む。農道には何やら恐竜の足跡らしきペインティングが施されている。



農道には丹波竜の張りぼて模型がある。デザインは拙いけれど電飾が施されている。どうやらすぐ近くを通過する福知山線の車窓に向けて丹波竜をアピールしているもののようだ。でも最近何度もこの辺りを福知山線で通過しているけれど、全く気付かなかった…。



廃止された発電所のすぐ横に丹波竜の発掘現場がある。渓谷沿いの岩にピンク色の恐竜が描かれている場所だ。もう少し上手い方法が無いものかとも思わなくもない…。



福知山線の下滝駅に到着。恐竜街道はまだ先に続くが今日はここまで。福知山線の現行ルート複線化実現の垂れ幕が掛かっているが、川代渓谷を歩いた限り、今の鉄道を複線化するには相当な難工事が必要だし、渓谷の風景も変わってしまいそうだ。難しい…。



本日の歩行軌跡。距離は11㎞。福井県にも恐竜街道というものがあるらしい。恐竜のいう点では福井が広く知られているけれど、川代渓谷は恐竜抜きでも十分魅力的な自然歩道だと思う。