2020年8月12日
先日ゲリラ豪雨のために中断した六甲アイランドでのウォーキングの後半戦のため、六甲ライナーのマリンパーク駅にやってきた。ここから六甲ライナーに沿って終点の住吉駅まで歩く。わずか数㎞だけれど猛暑日のウォーキングには適当な距離かもしれない。
先日は六甲アイランド中心部の住宅・商業エリアを取り囲むグリーンベルトを一周したが、今日はその住宅・商業エリアを貫くプロムナード風の中央道路を北上する。日差しはキツイがうまい具合に六甲ライナーの高架がいい日陰を提供してくれている。
六甲ライナーが敷設されている中央プロムナードは遊歩道、緑地帯、そして水路によって構成されている。四方を海に囲まれた人工島だというのに、さらに島内に立派な水路を設けるなんて贅沢なことだ。
プロムナードに面して20年以上前の建設とは思えないようなビルが並ぶ。お洒落というか近未来的というか、あるいは奇抜というか…。
写真右にあるように道路はこのプロムナードと交わるところでブロックされている。プロムナードには交差点も信号もない。テレビゲームの街づくりシミュレーションゲームで作ったような美しい都市構造だと思う。
アメリカやカナダではスカイウォークと呼ばれるビルとビルを繋ぐ陸橋も多く完備されている。こうすることで2階部分の商業施設の賑わい方が大きく変わってくるという。
水辺にはカフェのベンチが並ぶ。人口池の水は清らかで、子供たちがプール同様に水遊びを楽しんでいる。
トイレもかなり手の込んだデザインになっている。こんなに整備された町だから住む人にとっても店を出す人にとっても魅力的なところのように思うのだけれど、何故か空き地や空きテナントも目立つように思う。やはりアクセスがネックだろうか。
六甲アイランドを北に突き抜け大型車両が多数通行する外周道路へとやってきた。中心部とは異なり、工場や倉庫が立ち並ぶ殺風景な臨海工業地帯の様相だ。相容れることが難しい多様な施設を見事に配置していると思うんだけどなぁ…。街づくりは難しいものだ。
六甲大橋の歩道で陸側へと渡る。自動車道・歩道に加えて六甲ライナーがこの六甲大橋に同居している。この橋以外には阪神高速の橋が架かっているだけだ。災害のことなどを考えれば、やはり橋が一本だけというのは心もとないように思える。
もっとも車道脇に設けられた歩道は左右双方にあり道幅も広い。振り返れば海が広がり、その向こうに六甲アイランドのビル群が美しく展望できる。ただ風は強い。帽子が飛ばされないようにするのが大変だ。
六甲大橋で住吉浜に渡る。ここも古い埋立地で、元来の陸地との間には運河がある。この運河を渡るため、六甲ライナーの南魚崎駅に繋がる渡り廊下のような通路まで、ビルの4階相当くらいの高さまで階段で登らなければならない。
これって六甲ライナーの施設なのだろうか。長い渡り廊下の先には南魚崎駅の改札口がある。もっとも改札口に立ち寄らず、そのまま北岸の陸地に下りることができるようになっている。
酒蔵が立ち並ぶ魚崎地区にやってきた。住吉川に沿って六甲ライナーは北へと続いている。
六甲ライナーのすぐ脇にある菊正宗酒造記念館にちょっと立ち寄る。毎年恒例の灘の酒蔵めぐり始めた当初は風情と歴史ある酒蔵地区の真ん中に近代的な六甲ライナーの高架があることに強い違和感を覚えたものだが、だんだんと見慣れてきてしまった。
魚崎駅。阪神の魚崎駅と乗換できるようになっているが、両駅は微妙に離れている。もう少し阪神魚崎駅に近いところに六甲ライナーの駅を作れなかったのだろうか。六甲ライナーの構造上、駅の設置場所はかなり融通が効くように思えるのだけど…。
明治時代の村境を示す石標がある。「是より南、魚崎村」とある。裏面は「是より北、住吉村」だ。しかし現在の住吉・魚崎の境とはちょっと異なるようだ。現在このあたりでは南北というより、住吉川を挟んで東が魚崎、西が住吉となっている。
倚松庵。文豪谷崎潤一郎の旧宅だ。六甲ライナーの建設に伴い移設されたものだ。内部の見学もできるようだが、入ってみる気にはならない。谷崎という人は女性関係が滅茶苦茶にも程があり目を背けたくなる。
住吉川は海水浴場のような状況になっている。河川汚染が深刻だった20世紀後半は都会の川で泳ぐなんて考えられなかったものだ、環境対策への真剣な取り組みの末、ようやくあるべき姿に戻ってきたと言える。
超エリート校として有名な灘高校。住吉川に面して落ち着いた雰囲気の校舎が建っている。大学進学実績も素晴らしいけど、立地も素晴らしい。
住吉川は徐々に高度を上げながら六甲山中へと続いていく。知っている人が意外にも少ないのだけど、この川は天井川だ。この階段状になっている川底の下をJR東海道本線が通っている。
住吉駅方面から覗き込むと、ただの跨線橋のように見えるけど、れっきとしたトンネルなのだ。跨線橋のように見える橋の上には住吉川が流れている。電車に乗っていても住吉川の下を潜っていることを気づくことは難しい。
JRの住吉駅の横に六甲ライナーは滑り込む。住吉駅のさらに先を少し調べてみたけれどこれより先への延伸の気配は無さそうだ。
猛暑日で熱中症を警戒して歩いてきたけど、六甲ライナーの高架が作る日陰のお陰で意外と暑さを感じずに歩くことができた。住吉川にいい風が吹き込んでいたことも幸いした。ちょっと物足りない気もするけれど、6㎞のウォーキングで今日はお終いにしよう。