巡礼街道(宝塚市)

2020年8月23日


宝塚の東側の山麓に沿って、清荒神、売布神社、中山寺などの寺社が並んでいる。もともと西国三十三ヶ所巡りの道筋でもあったことから、阪急電鉄や宝塚市が巡礼街道としてプロモートしている。お賽銭用の小銭をポケットに詰め込んで出かけるとしよう。



阪急宝塚線の清荒神駅からスタート。随分と久しぶりの訪問になる。駅から清荒神まで1㎞以上の道には、せんべい、佃煮、唐辛子など和食系食品、漢方薬、占いなど、参道お定まりのお店が並ぶが、以前と比べて店の数も歩く人も少なくなったように感じる。



門前の駐車場を過ぎると人の数は一気に増える。暑さのせいかもしれないけど、大半の参拝客は車で来るらしく、駅から上り坂を1㎞以上も歩いてくるのはごく少数のようだ。



清荒神清澄寺。9世紀創建の古刹で、本堂も江戸時代の建設だそうだ。金銅製の大きな一言地蔵尊が立っている。



本堂の奥には、龍王の滝がある。滝の脇には、不動明王がお祀りされ、十三重の供養塔が立っている。



清荒神は典型的な神仏習合の様式が残っているように思える。お寺としての本堂とほぼ同じ規模で神社の拝殿がある。もちろん鳥居や神橋もある。



荒神さんは竈の神様なので、納められた厄除けの火箸(厄を摘まみだす)が山のように積まれている。凄い量だ。



境内にある摂社へのお供えは、金網の籠のようなところに収めるようになっている。でないと、カラスやら猫やらに持っていかれるようだ。



境内にある売店では、数珠や線香などの仏具と、神棚の道具類などの神具がともに販売(授与というべきか)されている。まさに神仏習合だ。さらにストラップやら置物、そして清荒神まんじゅうなどもあるという、



巡礼街道は、清荒神駅、売布神社駅、中山寺駅、山本駅の4駅の間を、閑静な住宅街を縫うように続いている。単純な一本道ではないけれど、基本的に宝塚線の少し北を進めばいい訳だし、また要所には案内標識が立っているので大きくは間違うことはなさそうだ。



日本画家、橋本関雪の別邸に出くわす。学生時代に関雪の居宅であった京都の白沙村荘のすぐ傍に下宿していただけに少なからず親しみがある人だ。門は固く閉ざされているけれど、今はどのように使われているのだろうか。



売布神社にやってきた。推古天皇時代の創建というから1400年以上の歴史を持つ。長い階段が山に向かって延びている。炎天下のなか体力的には問題ないのだけれど、問題はスマホ。明らかに画面の様子がおかしい…。



檜皮葺の社殿が周囲の森の景色と良く調和し落ち着いた空間を形成している。貧しかったこの地の人々に稲を植え麻を紡ぎ布を織ることを教えた下照姫神を祀っている。



神社、仏閣だけではなく、キリスト教の修道院も巡礼街道沿いにある。宗教施設にとって望ましい立地は、神教でも仏教でもキリスト教でも共通項が多いように思える。



中山寺や清荒神ばかりではなく、あまり知られていない寺社も巡礼街道には並んでいるが、パンフレットに紹介されている寺社は全て忠実にお詣りをしていこう。ここは市杵島姫神社。中山寺の寺領に接する小ぶりな神社だ。



中山寺。聖徳太子の開基ということは売布神社とほぼ同い年だ。政敵であった物部守屋を慰霊するための開基とも伝わるらしい。この辺りの寺社の多くと同様、荒木村重の反乱に巻き込まれて全山焼失したものが、豊臣秀吉が秀頼誕生を喜び再建したという。お寺の縁起には日本史のビッグネームが並ぶ。



境内は完全にバリアフリー化されている。安産祈願で名高いところだけに、妊婦さんなどへの配慮が行き届いているようだが、暑さのせいか、ほぼすべての参拝者はエスカレータを利用している。



中山寺周辺の駐車場を見ると、今日は戌の日のようだ。道理で参拝客が多かった訳だ。驚くべきことに戌の日は普段の日より駐車料金が4倍近くに設定されている…。



有馬稲荷大明神。高所に建つ拝殿までの階段が長くてきつい。でも賽銭箱だけは階段の登り口に設置されている。便利というべきか、チャッカリしているというべきか…。



巡礼街道をさらに東に進み山本地区に入ってきた。天満神社だ。鳥居の前の木陰にベンチが設置されているのが嬉しい。




天満神社の境内にある行基の投げ石。人々の通行の邪魔をしていたこの岩を、行基が錫杖で払い除けたものが、ここまで飛んできたそうだ。関西近辺を歩き回っていると、行基、役行者、弘法大師の3人の超人的な故事に多々出くわすものだ。



正念寺でスマホはついにダウン。スマホの熱中症と呼ばれるらしいが、画面が真っ暗になり、電源が切れたような状態になってしまう。山本駅まであと一息だというのに…。



植木や園芸が盛んな山本駅近くには花などを売る店が多く並んでいる。でも、これだけ暑いと花にも良くないのは間違いなかろう。



松尾神社。天満神社とともにこの地の産土神として信仰を集めているようだ。鳥居は塗装のやり直し中のようだけど、少々塗装が剥げているくらいの方が渋くも感じられる。もっとも塗装無しでは鳥居もすぐに腐食してしまうのだろうけど。



今日もスマホは途中でダウンして、歩行軌跡記録アプリも停止していた。6㎞半以降はフリーハンドで書き足したもの。おそらく全歩行距離は8㎞くらい。最近は7~8㎞のウォーキングが限界のように感じられるが暑さのせいばかりだろうか。体力レベルが低下しているような気がしてならない。