2020年8月5日
小野市の「加古川⇔小野アルプス周辺ウォーキングマップ」から「きすみのさとコース(9.8km)」と「鴨池一周コース(4.8km)」の2コースを歩いてみよう。道の重複もあるので、合計12kmくらいのはず。猛暑日になるのは確定的だけにチャレンジングな距離だ。
1時間に1本の電車に乗ってJR加古川線の小野町駅にやってきた。コミュニティセンターが同居しているので、まずまずの大きさの駅舎に見えるけれど長閑な無人駅だ。
小野町駅の西側が「きすみ」地区。漢字では来住。先日訪問した西脇では「きし」だった。有難いことにハイキングコースの標識は充実しているようだ。地図は持ってはいるものの田園地帯は目印が少ないだけに、ひとつ間違うととんでもないことになってしまう。
左手に小野アルプスの山々を見ながら農道を進んでいく。200mも無いような低山ばかりだけれど馬鹿にはできない。数年前の真夏の小野アルプス縦走ではひどいダメージを受けた。特に最後の紅山の大岩稜では二度と登りたくないと痛烈に思ったものだ。
東西に連なる小野アルプスに途中から登っていく。登山路の入口には「日本一低いアルプスへようこそ」という一見自虐的とも思える標識があるが、設置者は「舐めてかかって、後で吠え面かくなよ」と密かにほくそ笑んでいるに違いない。
数年前の小野アルプス縦走を思い出しながら蜘蛛の巣だらけの山道を登っていく。汗がドッと噴き出してくる。
マップに紹介されているのは見晴らし台まで行って帰る道なんだけど、ここまで来たら紅山の岩稜に挨拶していこうという気がムラムラと湧いてくる。下から眺めるだけだ。決して登らないぞ。
紅山の岩稜の下までやってきた。相変わらずの威圧感だ。麓から見上げているよりも実際登ってみるとずっと傾斜がきつく感じられること、途中からは四つん這いになってしまうこと、一旦登り始めたら怖くて下りることができないこと…、よ~く知っている。
なんて考えながらも、「登りたい」という気持ちがどんどん強くなってくる。我ながら危ない性格だ。数年前の恐怖を思い返して、なんとか登ることを思いとどまる。
紅山に別れを告げて、鴨池方面に向かって林道を進んでいく。蝉が凄まじいほどの声で鳴いている。
溜め池と田んぼの間の畔道を進んでいく。平坦な道だけど、樹木で直射日光が遮られる山道より歩くのが辛く感じられる。
鴨池は男池と女池の2つで構成される。これは小ぶりな方の女池。左奥の尖がった山がたぶん紅山だ。
こちらが男池。暑さのせいか水草の繁殖が凄い。以前冬にここを訪問した時には、千羽以上はいるかと思われる鴨の大群に感動したことを思い出す。ここは冬に訪れるべきところだった…。
気を取り直して、鴨池一周コースのスタートだ。どうやら鴨池の周回する道はバイクも自転車も乗入禁止になっている自然歩道らしい。楽しみだ。
随分と鬱蒼とした道が続く。池を眺めることができる開放的な道だと思っていたのだけれど、どうも違うようだ。
さらに無数の蜘蛛の巣が行く手に待ち構えている。笹の枝を振り回しながら蜘蛛の巣を落としていく。大名行列の先頭を進む旗持ちの役割は、実は後続の騎乗の武士のために蜘蛛の巣を払うことではなかったのか、なんてことを思い浮かべたりする。
歩けども歩けども景色はまるで変わらない。眺望も無いので池をどれくらい周回しているのかさえ掴めない。蜘蛛の巣や薮蚊と戦いながら歩くことにも疲れてきた。
ようやく眺望が開けたのはゴルフ場の横。名門小野ゴルフ倶楽部だ。
ゴルフ場のずっと向こうに池が見える。池とはかなり離れた道を一周してきたようだ。道理で池の気配が少しも感じられなかったはずだ。
鴨池一周コースを終え、ゴールの粟生駅に向かう。JR加古川線の高架の下を潜る。田園部を走る加古川線に高架があるとは思わなかった。この後に控えた鉄橋のために高度を少し上げているのだろう。
こちらは神戸電鉄の粟生線。加古川線同様単線の長閑な路線だ。線路脇には「地震発生」の警報がある。電車の走行中は振動のせいで運転手さんは地震発生に気づかないものなのかもしれない。
粟生駅にやってきた。JR加古川線、神戸電鉄粟生線、北条鉄道の3路線が交わる北播磨における鉄道の要衝だが、どれも1時間に1本程度しか無い。もっとも神戸方面に戻るのは加古川線でも粟生線でもいいので、1時間に2本ある勘定になる。
と思っていたけど、乗換の都合上、加古川線も粟生線もほぼ同時刻の発車時刻になっている。結局45分も待って粟生線の準急で帰路につく。準急といっても終点新開地駅までの20駅のうち18駅に停車する。単線区間が多い粟生線では精一杯なんだろう…。
本日の歩行軌跡。距離は11㎞くらい。蜘蛛の巣や薮蚊には悩まされたけれど、猛暑のなかなら街歩きより里歩きの方がまだしも頑張れるように思う。もっとも途中でギブアップできないことと、水分補給ポイントが少ないことが厄介だ。